週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 11月 03日号
ワイン、シャンペン飲み放題のライブ音楽付きブランチ
 $29.95で、ワイン、シャンペン、カクテルが飲み放題、もちろんカニなどの料理も食べ放題、さらに一流ミュージシャンのライブパフォーマンスも楽しめる。今週は、地元民に人気のサンデーブランチ Mimosas and Music Sunday Brunch を紹介してみたい。

 料金のわりにはストリップ地区の他のサンデーブランチに比べて条件が良すぎる、と感じる人も多いことだろう。
 それもそのはず、この店があるのは、なにごとにおいても高級なストリップ地区ではない。日本人観光客が宿泊するストリップ地区の主要ホテルから数キロメートル離れた場所にある中堅ホテル 「ルネサンス」 (写真右上、クリックで拡大) の中だ。

 「遠い。徒歩で行けない!」 とあきらめるのはまだ早い。モノレールの 「ラスベガス・コンベンションセンター駅」 からわずか150メートルの便利な場所にあり、主要ホテルからモノレールを利用すれば、10分程度で行くことができる。
 ちなみに右の写真は、このルネサンスホテルからコンベンションセンター側を見た様子で、写真内の左側に見える施設がモノレールの駅だ。(カラフルな車両がたくさん見えるのは、たまたま自動車業界のコンベンション "SEMA" が現在行われているため)
 今回紹介するサンデーブランチの会場は、そのルネサンスホテルの1階にある Envy というステーキハウスのダイニングルーム内。もちろん名前の通り日曜日だけの営業で、時間は午前11時から午後3時まで。

 シャンペンの飲み放題はよくある話だが、ワインやカクテルの飲み放題は珍しい。それでも宣伝に偽りはなく、本当に何杯飲んでもかまわないから左党にとってはありがたい。
 ちなみにシャンペンはウェイターがそのつどグラスに注いでくれるが、ワインは専用テーブルに置かれているボトルを自分で注ぎ、カクテルもレモンやライムなどの素材を自分で自由に混ぜて作るセルフ方式だ (写真右)。高級感に欠けるかもしれないが、遠慮する必要もなければ英会話のことなどを心配する必要もまったくなく、ウェイターとのやり取りが苦手という者にとっては好都合だろう。
 なお、コーヒー、紅茶、オレンジジュースのたぐいはウエイターにそのつどオーダーすることになるが、もちろん飲み放題であることは言うまでもない。ちなみにオレンジジュースは絞りたてのホームメードで、この店の自慢の逸品だ。生のオレンジを使っているがゆえに、その日によって味にバラツキがあることは避けて通れないようだが、その新鮮な舌触りにはだれもが感動することだろう。

 気になる料理についてだが、ブランチとしての常識的なアイテムは一通りそろっている。またオムレツ、目玉焼きといった定番卵料理は客のオーダーに応じてその場で丁寧に作ってくれるなど、ライブクッキングのセクションも手を抜いていない。
 氷の上に並ぶカニは、日本でいうところのタラバガニに相当する立派なキングクラブで、エビもそこそこ立派なサイズのものがプリプリ感を保った生に近い状態で陳列台を彩っている。料金のわりにシーフードのレベルは高いといえるが、残念ながら今回の取材時に生ガキはなかった。

 いいことばかりのようにも思えるが、欠点が無いわけではない。ストリップ地区の大型ホテルに比べ規模が小さいためか、料理の種類が少ないことは大きな欠点といってよいだろう。デザートも、エクレア、ティラミスなどのプチケーキのたぐいが数種類あるだけで、味的には満足できても、品数的な寂しさは否めない。
 話が前後するが、セルフサービスのワインも、赤、白、合計6種類のボトルがあるものの、ブドウの種類によるテイストの差がほとんど感じられなかったのは少々残念だ。

 食べ物や飲み物のことを書いてきたが、じつはこのブランチの特徴は、なんといってもライブ演奏と客層、そしてその両者が作り出す雰囲気にあるといってよいだろう。
 店内は大きく分けて2つのセクションに区切られており、入口から中に向かって右側がライブ演奏のためのピアノなどが置かれているセクション、左側が料理の陳列台が並ぶセクションで、座席数はほぼ半々だ。入店の際にどちらがいいか希望を聞かれる。もし聞かれなかったら、希望を申し出ればよい。
 ライブ演奏を楽しみたい者は右側、料理の取りやすさを重視する者は左側を選べばよいわけだが、90%以上の客は右側を選んでいるところが興味深い。理由は、ほとんどの客は地元の高齢者で、演奏者の親衛隊のような感じでこの店に足を運んでいるからだ。彼らはあまりたくさん食べないので、料理の位置よりも奏者までの距離を重視する。

 ちなみに現在の演奏者は Wes Winters 氏で、この店以外にもローカル型カジノ 「サムズタウン」 で毎週演奏するなど、地元民の間では知る人ぞ知る人気のピアニストだ。
 ピアノ演奏のみならず、歌って踊ってトークもできるマルチタレントで、その多才ぶりにはだれもが驚く。取材時も親衛隊からのリクエストに応じて、シナトラ、プレスリー、ビートルズ、サイモンとガーファンクルなど往年のヒット曲を演奏したかと思えば、オペラ座の怪人などのミュージカル、そして映画音楽、さらにはガーシュイン、ショパンなどのクラシック系も華麗に披露し、ありとあらゆるジャンルの曲を見事に弾きこなしていた。
 「こんな無名のホテルの小さなダイニングルームにこれほどのミュージシャンがいていいのか」 と思うほどの熱演で、このライブを聴けるだけでも 29.95ドルは安いのではないか。ちなみにこれが彼のオペラ座の怪人の演奏だ。(←クリックで動画再生)
 少なくともあと数ヶ月は彼がこのサンデーブランチの奏者を担当することが決まっているとのことなので、興味がある者はぜひ足を運んでみるとよいだろう。

 利用パターンとしては、11時半までには入店し、1時間ほどで食事をしたあと、ワインやカクテルを片手に 3時まで彼の演奏を地元民と一緒に楽しむというのが基本形だ。
 店のスタッフいわく、遅れて店にやって来る人たちはほぼまちがいなく、彼のことを知らないこのホテルの宿泊者とのこと。
 なお、コンベンションセンターに隣接していることから、大きなコンベンションが日曜日と重なったりした場合は、宿泊客でごった返すことになり、平常とはちがった雰囲気になるようだ。そういう時期は親衛隊たちとアットホームな雰囲気でゆっくり演奏を楽しむことができないので避けたほうがよいだろう。

 料金は定額ブランチではあるが、前払いではなく後払い。29.95ドルに、8.1%の消費税、さらに5ドルほどのチップが必要なので、最終的には38ドル程度に。
 行き方は、ストリップ地区の中心街からモノレールに乗り、コンベンションセンター駅で下車。エスカレーターを下りて広い駐車場に出たら右手方向を見ればこのルネサンスホテルが目の前に見える。



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