週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 09月 22日号
砂漠の丘陵地帯に全米屈指のジップライン
 40度を超えるラスベガス特有の猛暑もそろそろ終わり、アウトドア・アクティビティに最適のシースンがやって来た。
 今週は、ホテル街から車で約35分程度の砂漠の丘陵地帯に広がる全米屈指のジップライン施設 Bootleg Canyon Flightlines を紹介してみたい。(写真右、クリックで拡大表示)

 ジップライン (Zip-Line) とは、落差のある2地点を結んだワイヤーに、滑車を組み込んだ器具で身体をつなぎ、一気に滑り降りるという豪快な遊び。見た目はスキー場のリフトのような施設だが、リフトとの大きなちがいは、動力がなく落差だけを利用しているため、登りはなく、常に下りであることと、速度が定速ではないこと。そして始点と終点以外に支柱がほとんどないことも特徴といってよいだろう。
 この Bootleg Canyon Flightlines の責任者いわく、ここの施設は全米で5指に入る規模を誇っているとのこと。

 行きかたは後述するとして、まずは現場に到着してからの手順を説明すると、受付にて最初に行うのは、体重測定と書類への署名、そして 1ラウンドの料金 (149ドル) の支払いだ。
 体重は最低75ポンド(約34kg)、最高250ポンド(約113kg) の範囲におさまっていなければならない。これよりも軽すぎると、向かい風のときなど途中で失速し停止してしまうリスクがあり、逆に重すぎると速度が出すぎて終点での停止の際の衝撃が大きくなりすぎるという問題が出てくる。
 契約書への署名は、訴訟社会アメリカ特有の 「事故があっても訴えません」 といった内容のもので、これに署名しないと参加させてもらえない。

 支払いが終わると、1つのグループ (最高12人) がまとまって、専用の装備 (現場ではハーネスと呼ばれている) を身に付ける作業と、インストラクターによる3分程度のレッスンを受けることになる。(写真右)
 ハーネス (赤いシャツを着たインストラクターが首から股にかけて付けている装備) はここで装着したら、全行程が終わるまでそのまま付けていることになるので、しっかり完璧に取り付けるようにしたい。
 レッスンはもちろん英語だが、習うべきことは、たった3つの姿勢に関してだ。
 1つ目の姿勢は、進行方向に向かって堂々と胸を張り、両足を大きく開き空気抵抗を大きくして速度が出すぎないようにするポーズ (写真右)。現場ではこのポーズのことを、その形から 「スターフィッシュ」 と呼んでいる。ちなみにスターフィッシュとはヒトデのことだ。
 このポーズを取り忘れるとゴールの際にスピードが出すぎて衝撃が大きくなる。
 気になるそのゴールの仕掛けは、体重の数分の一程度のオモリ数個が約1メートル間隔でワイヤーに可動状態で取り付けられていて (右写真の赤い物体がそのオモリ、左側は着地デッキ)、それに自分の滑車装置 (現場ではトロリーと呼ばれている。右下の写真内の赤い長方形の物体がトロリー) が激突する形で減速・停止する。

 2つ目の姿勢は、逆に速度を増したいときに取るもので、うしろに寝るようにして身体全体を水平に保ち空気抵抗を減らす 「ストリーム」 と呼ばれているポーズ (写真右)。
 体重が軽い者がこのポーズを取り忘れると、空気抵抗に負けて減速し、ひどい場合は谷の途中で停止してしまうという事態に陥る。そうなってしまった場合は、スタッフによる救出を待つしかなく、全体の進行が大きく遅れて全員に迷惑をかけることになるので、これだけはなんとしても避けるようにしたい。

 3つ目の姿勢はゴール時に必要なもので、トロリーがオモリに激突して急減速する際に身体に負担がかからないようにするためのポーズ。足をできるだけ高く上げて大きく開き、上半身はうしろにそらして寝るような姿勢を取る。(写真右)
 これは減速させる意味もあるが、衝撃時に首や腰に負担をかけないようにするためのポーズなので、ゴール直前には必ずこの形を取ることを絶対に忘れないようにしたい。

 レッスンが終わると、グループ全員とインストラクター数人が1台の車に乗り、現場の丘に向かう。ジップラインの第1コースのスタート地点 (ゴルフでいうところの1番ホールのティーグラウンド) までは車で入って行けないので、10分ほど走行した地点で下車し、さらに山道を徒歩で10分ほど進み丘の頂上付近を目指すことになる (写真右)。
 したがって、その体力が無い者はこのツアーに参加できないことになるので注意が必要だ。といっても普通の健康状態にある者ならば女性でも特に心配する必要はないだろう。ただ、その山道を登る際、トロリーを持って歩かなければならず、これの重さが7kgもあるので高齢者などには少々きついかもしれない。なお、右上の写真で、全員が同じような黒いパンツをはき、黒いリュックを背負っているように見えるのは、ハーネスの一部であり (これらの装備は滑空中に腰掛ける部分になる)、私物ではない。

 第1コースのスタート地点に到着したら、インストラクターがトロリーをワイヤーに取り付け、さらに各自のハーネスをそのトロリーに固定したら、いよいよ滑空だ。
 レーンは4つ、つまりワイヤーは4本平行に設置されているので4人ずつ 3回に分けて滑空することになる (12人いた場合)。
 滑空が終わると次のコースに進むわけだが、コースは全部で4つあるので、ゴルフにたとえるならば、4人1組で3組が続々とスタートし、4番ホールで終了、と考えるとわかりやすい。ホール間の移動は徒歩で、12人一緒に行動を共にする。
 各コースのゴールには、スタッフが待機していて、各レーンの滑空者に手振りでゴールのポーズを取るタイミングを教えてくれる。したがって、ゴールが近づいてきたら、よくそのスタッフを注意深く見ている必要がある。以下は各コースの特徴だ。

 1番コースは、傾斜がかなりある上、最初のコースなので緊張度はここがナンバーワン。
 最後まで速度が十分に出るので、軽量者でも途中で失速することなくほとんどが全員スムーズにゴールできるはず。 体重にもよるが、最初はスターフィッシュポーズで、途中からストリーム。最後はもちろんフィニッシュのポーズ。ここでのゴールの衝撃は初めての体験なので感動的。
 ちなみに各コースのスタート地点では、インストラクターから体重を聞かれるので、キログラムではなくてポンドで答えられるようにしておきたい。インストラクターは各参加者の体重に応じて、どのへんまでスターフィッシュポーズを取るべきかアドバイスしてくれる。

 2番コースは谷が険しく距離もあり、さらに奥にミード湖が見え、スリルも景色もここがナンバーワン。ゴール直前は傾斜が無くなりやや登りの部分があるため、後半失速するとゴールにたどりつけないこともある。軽量者はゴール直前までストリーム姿勢、重量者は途中からスターフィッシュを取るようにアドバイスされるが、あまり早いスターフィッシュ姿勢は失速の原因になるので向かい風のときは要注意。

 3番コースは2550フィート (約777メートル) と距離的には一番長いコースではあるが、ひたすら長いだけで景観や傾斜はやや単調で、面白味に欠けるかもしれない。
 軽量者はゴール直前までストリーム姿勢、重量者は途中までスターフィッシュ。向かい風になりやすく、軽量者はゴール直前に失速しやすいので、きちんとしたストリーム姿勢を保つようにしたい。
 4番コースは位置的に3番コースの延長線上にあり景色も似ている。体重に関係なくストリーム姿勢で豪快に高速で一気に滑り降りたい。

 さて、どんな遊びでもスポーツでも安全が何よりも大切。ここのジップラインで一番ケガが多いのは、滑空そのものではなく、コース間の移動だ。特に2番コースのゴール地点から3番コースのスタート地点への移動は、距離こそ20メートルそこそこだが、かなり険しい斜面を登ることになるので (写真右)、すべったりしないよう十分な注意が必要だ。不注意により転倒して鋭い岩肌で肌を切ったりする事故があとを絶たないと聞く。ハイヒールなどでの参加は絶対に無理だ。
 またトロリーの持ち運びにも気をつけたい。かなり重い金属製の器具なので、足元に落としたり足にぶつけたりするだけでなく、持ち方によっては指を痛めたりもするので細心の注意が必要だ。
 あとこれは身の安全とは直接関係ないが、財布、メガネ、帽子、カメラなどの落下にも注意する必要がある。下は深い谷なので、落下物を拾いに行くことは不可能と考えておいたほうがよい。しっかり閉じることができるポケットが付いた服装で参加するようにしたい。
 なおカメラの持ち込みは可能だが、撮影はスタート地点、ゴール地点、およびコース間の移動のときだけで、滑空中は所定の位置をしっかり握っていなければならないので撮影はほとんど不能。
 女性のハンドバッグなどは、オフィスにロッカーがあるので事前にそこに収納しておく必要がある。飲み水などはスタッフが全員のぶんをクーラーボックスに入れて運んでくれているので持参する必要はない。
 すべての行程が終了し、オフィスへ戻ってくると、「感想を書いてください」 とのことで封筒を渡される。これは、もちろん感想も重要だが、ホンネはチップを入れてください、という意味なので、十分楽しめたと思ったら 20ドル程度を入れて渡すと喜ばれる。

 予約は公式サイト www.bcflightlines.com から可能。海外の者は入力フォーマットが異なるためか、電話での予約を奨励している。サイトにしろ電話にしろすべて英語だが、予約でつまずくようでは、実際の現場でのインストラクターの指示がわからなくて苦労する可能性が高い。
 行き方は、エクスカリバーホテルから送迎バスが出ているのでわざわざ覚える必要はないが、レンタカー利用者のために念のため書いておくと、まずはストリップ地区のホテル街からストリップもしくは高速15号線で南に行き、高速215号線の東行き (Henderson 方面) に乗る。15分ほど走ると高速 93号線とのジャンクションにさしかかるので、右車線をキープしながら 93号線の南行きに乗り換える。10分ほど道なりに走ると高架道路が地上の道路になり、Veterans Memorial Drive という道との交差点 (信号あり) にさしかかるのでそこを左折。あとは道なりに1マイル進むと左手に Bootleg Canyon Flightlines の建物が見えてくる。


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