週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 07月 07日号
日本人女性マジシャン Ai and YuKi、ついに公演開始
 5月26日付の対談記事(バックナンバー696号) で既報の日本人女性マジシャン Ai and YuKi。
 そのデュオによる待望のマジックショー Zen Magic が、予定より二週間遅れて 7月2日からプラネットハリウッドホテルに併設の Saxe シアターで始まった。

 ショーの内容はバックナンバーでも紹介した通り 「和の美」 を追求したマジックパフォーマンスで、衣装が和服であったり、舞台セットに籠、太鼓、和傘、能面、鳥居といった日本的なものが多用されるなど、和の要素がふんだんに取り入れられたかなり特異な演出になっている。
 その一方で、主役の二人をバックアップする形で登場するパフォーマーたちは、シルクドソレイユを彷彿とする衣装や演技で観客を圧倒するなど、和ばかりではなく洋もあるところがこのショーの真骨頂だ。
 また、空中で布にからまりながら演技するエアリアルが多いのもこのショーの特徴で、危険が伴いかなりの腕力や脚力を要する力技を主役の二人が演じているのには驚かされる。開幕直後のためか、まだ少々ぎこちない部分も散見されるが、世界広しといえどもマジシャン自ら危険なアクロバットに挑戦するショーも珍しいのではないか。そのオールラウンドな多才ぶりとチャレンジ精神には素直に敬意を表したい。

 シアター側の準備不足などにより2週間遅れてしまったが、和と洋の融合がうまく図られたその内容は上々の出来で、まずまずの滑り出しと言ってよいのではないか。このまま順調にロングランショーとなることを祈りたい。
 さて、あえて気になった部分を指摘するならば、それは煙の多用だ。観客に見せたくない部分を煙でぼかしたり、照明を落とした暗い場面での白い煙は幻想的でそれなりに効果があるが、むやみやたらに煙を出しても、せっかくの役者の演技がクリアに見えないばかりか、照明が明るい場面でのステージ上に滞留した煙はほこりっぽく見えるだけで決して美しくない。
 また、これは構造上の問題なので仕方ない部分ではあるが、ステージ上方の空間の狭さもやや気になるところだ。エアリアルを演じるには、このシアターの天井の高さは十分とは言えず、フロアからわずか3メートルほどの位置だとせっかくの演技もスリルが伝わってきにくい。もっとも、万一のアクシデントなどのことを考えるとこの程度の高さのほうが安心かもしれない。

 マジックを演じるマジシャンと、マジックを発明する考案者がまったく別という近年のマジック業界における分業制の環境では、同一のマジックの採用など、どのショーもとかく内容が似てしまいがちだが、そういった中で、和という特殊なコンセプトでライバルショーとの差別化を図っていることは、存在感をアピールする上でかなり有利な条件にあるように思える。それでもライバルとの競争が激しいことに変わりはなく、ラスベガスで生き残ることは決して容易なことではない。
 いずれにせよラスベガスの中心街での常駐マジックショーとしては日本人初の快挙だ。このショーがロングランショーとして長く続くためには日本人観光客のサポートも欠かせない。同じ日本人としてぜひ応援しようではないか。
 公演スケジュールは、とりあえず現在は休演曜日なしの週7回公演で、開演時刻は毎日午後4時。チケット料金は $44.99、$54.99 (税、手数料は別)。子供料金はないが、10才未満の子供は大人1名につき1人無料。 会場は前述の通りプラネットハリウッドのホテルに併設されているショッピングモール「ミラクルマイル」内の Saxe シアター。


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