週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 04月 28日号
地上280メートルからのダイビング 「スカイジャンプ」
 4月20日、ラスベガスで一番高い建造物 「ストラトスフィアタワー」 (写真右) の最上部付近に、バンジージャンプに似たような新アトラクションが登場した。
 地上280メートルの位置 (左下の写真内の水色の部分。クリックで拡大表示) から飛び降りるそのアトラクションの名前は 「スカイジャンプ」。高さだけならば世界一との呼び声も高い。

 内容は実にシンプルでわかりやすい。参加者の身体にワイヤーを取り付けて飛び降りるだけだ。それ以上のモノでもそれ以下でもない。
 ただし、通常のバンジージャンプの高さを280メートルにしたものと考えると、期待を裏切られる可能性がある。
 なぜなら、多くのバンジージャンプに見られるような、最下点から跳ね返り再び上昇するような往復の動きはなく、減速しながら着地するだけの1回限りの片道落下だからだ。
 さらに、物理学用語でいうところの自由落下の局面はなく、ほとんどは等速運動で、その速度も時速70km程度までにしかならない。その代わり約15秒間 (取材時の実測値) も楽しめることになるが、それを良いこととするかどうかは意見が分かれるところだろう。ちなみに自由落下であれば7秒少々で地面に激突する計算になる (空気抵抗は無視して計算)。

 また、あらかじめ張られているガイドケーブル (右写真の白い2本の線) の存在もスリルや興味を半減させるかもしれない。
 風などにあおられ振り子のように揺れてしまうと、決められた場所に安全に着地することができないので、平行に張られたこのガイドケーブルの間を降りることになる。
 つまり自分の身体を垂直に吊るすメインのワイヤー以外に、左右方向から補助ワイヤーも接続され (それがガイドケーブルにつながっている。非常に細いのでこの写真では認識できない)、合計3方向から引っ張られることになり、物理的にも気分的にも自由度は少ない。ただ、280メートルという高さを考えると、決められた範囲内に安全に着地するためにはそのガイドケーブルは不可欠で、やむを得ない措置と考えるべきだろう。なお、このガイドケーブルは、参加者の表情を撮影するためのカメラの誘導線も兼ねている。

 ちなみに落下中の速度を定速に保てるのは、ワイヤーが自由にほどけて引き出されていくようになっているのではなく、スタート地点に設置された大きな糸巻き状の装置 (写真右) が回転しながらワイヤーを定速で開放していくからで、結果的にはジャンプというよりも、箱のない超高速エレベーターで降りるようなものと考えるとわかりやすいかもしれない。

 以上のような条件をあらかじめ承知した上でやってみるぶんには期待を裏切られるようなことはないはずだ。眼下に広がる恐ろしいまでの景色、そして踏み切って飛び出すときのスリルと興奮は、体験した者でなければ絶対にわからない。
 料金は99.99ドルと決して安くはないが、他では体験できないので、興味がある者はぜひ挑戦してみるとよいだろう。
 なお参加にはいくつか条件があり、18才以上であることが不可欠。ただし 14〜17才は保護者の承認があれば参加可能。身長は52インチ (132cm)以上、体重は275ポンド(124kg)以下、心身ともに健康で、なおかつ妊娠中でないことが条件だ。
 営業時間はまだ流動的で現在は 10:30am〜6:45pm となっているが、近日中に深夜まで延長する予定。

 なお、「15分に1人の間隔」とのことだが、まだ現場スタッフが不慣れで段取りが悪いのか、実際にはそれ以上に時間がかかっており、参加できる人数はかなり限られている。
 さらに現在は開業したばかりということで初物好きが殺到しているのか、2日先まで予約がいっぱいという状況が続いている。
 したがって、ラスベガスに到着した日に現場に出向きすぐに予約をしないと、滞在期間中に体験できない可能性があるので注意が必要だ。オンライン予約サイトはとりあえず存在しているものの、まだうまく機能していない。

 出向く場所は、ロゴグッズなどを販売するショップも兼ねたスカイジャンプ専用のデスク (写真右)。ストラトスフィアホテルのカジノフロアのひとつ上の階にあるショッピング街のほぼ中央付近に位置するアイスクリーム店 BEN & JERRY'S を目指すとわかりやすい。デスクはそのアイスクリーム店のとなりだ。
 そこへ出向き予約をする。予約が完了したら、指定された日時に再びそこへ行き、専用のジャンプスーツやハーネスなどを装着し、簡単なインストラクションを受ける。荷物などはロッカーがあるので、そこに入れておけばよい。
 「ケガをしても訴えません」 といったいかにもアメリカらしい契約書に署名をさせられ準備完了。あとは現場スタッフの誘導でエレベーターに乗りスタート地点まで一気に上昇。現場で最終的な説明を受けたあと、あらかじめ装着しているハーネスなどにワイヤーを接続。扉が開いたら目の前に用意された踏み切り台まで数歩前に進み出て、あとは飛び降りるだけだ。

 着地点は厳密には地上ではなく、カジノフロアの屋根に相当する2階で、前述の専用デスクのすぐ裏側。
 したがって、ワイヤーをはずしてすぐにロッカーに向かって帰れる位置にあるわけだが、なぜか怪しげな美女がそこに待機していてこちらに寄ってくる。ピンク色の試験管のようなものをたくさん身に付けたその彼女は、かなりアルコール度の高いカクテルの売り子だ。試験管一本3ドル。買うと笑顔で一気飲みをすすめてくる。ジャンプする前の緊張緩和や気合付けの意味ならわからないでもないが、ジャンプ後に飲んでなんの意味があるのか。と疑問に思いながらも、ついつい買ってしまうのが人情というもの。
 室内に入ると落下中の写真やビデオがすぐに用意されるので、希望であればそれらを買って(静止画も動画もそれぞれ約15ドル)、ロッカー内の荷物を取り出しすべて終了。
 やってみての感想は、「やってよかったが、二度はやらないだろう」 といったところか。それよりも、デスク、タワーの上部、着地点などそれぞれの場所にかなりのスタッフが働いているにもかかわらず 15分に1人では採算に合わないのではないかと心配になった。施設閉鎖にならないことを祈りたい。



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