週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 03月 31日号
ACE のデビューで混乱するも、ショッピング族には朗報!
 3月28日、まったく新しい路線バスがストリップ地区に登場した。(写真右、クリックで拡大)
 ニックネームは "ACE" 。車内照明に LEDを多用するなど、エコロジーに徹したヨーロッパ製ディーゼル・ハイブリッドが自慢の2連結高速バスだ。
 位置づけとしては、従来から存在する2階建バス "DEUCE" (写真右下) の急行バージョンと考えてよい。
 運営しているのはどちらも同じ RTC (Regional Transportation Commission)。ネバダ州最大の公営バスの運営組織だ。

 今回の ACE の登場は、電車で言えば 「各駅停車」 だけが走る路線に新たに急行も加わった、という程度のことのようにも思えるが、じつはそうでもない。現場はかなり混乱している。
 なぜなら、ACE の登場により、DEUCE の路線が大幅に変わったからだ。
 ストリップ地区とダウンタウン地区を結んでいた大動脈ともいえる DEUCE が、ダウンタウンへ行かなくなり、逆方向の南行きもタウンスクエアやラスベガスアウトレットへは行かなくなった。

 世界中からやって来るツーリストが手にしているガイドブックには、「ダウンタウンへは、2階建バス DEUCE に乗って終点まで」 などと書かれているはずだ。
 車窓の景色を見ても異変に気付かない大多数のツーリストは、2階建という明確な目印をもとに完全に信じきって終点まで乗ってしまう。
 しかし終着駅で目にするのはダウンタウンの電飾アーケードではなく、パレスステーションというマイナーなカジノだ。

 なにごとにおいても変化が激しいラスベガス。ガイドブックに書かれている料金や営業時間の変更などは日常茶飯事で、掲載されていたナイトショーやレストランがなくなっていても特にだれも驚かないし、大きな混乱もない。
 しかし今回のバス路線の変更は、ことが重大だ。なんの疑いもなく乗ったらまったく別のところに連れて行かれる。ガイドブックに 「和食店」 と書かれていて、店に入って着席しメニューを手渡されたらフレンチだった、というよりひどいだろう。そもそもその場合、店に入る際に異変に気付く。

 現在 RTC ではこの混乱に対処するため、各バス停に朝から晩までスタッフを配置し、DEUCE の乗客に注意を喚起している。(右は今回の取材の窓口となってくれた特別スタッフのサモンさん)
 いつまでやれるかわからないが、少なくとも地元ラスベガスでツーリスト向けに印刷されているフリーマガジンのたぐいが書き直されるまでは頑張るようだ。それにしても世界中のガイドブックの更新が終わるのはいつになることやら。

 この混乱で一番得をするのは DEUCE の新たな終点となったパレスステーションと言われているが、じつは一般観光客にとっても今回の路線変更は大いなる朗報だ。
 新登場の ACE でプレミアムアウトレットに乗り換えなしで行けるようになったことは画期的な出来事だろう。さらに急行なので、所要時間は従来の半分以下。また南地区のタウンスクエアやラスベガスアウトレットにも短時間で行けるようになった。

 一時的な混乱はあるにせよ、今回の変化は長期的に見れば渋滞緩和や移動時間の短縮など、エコロジー的にも利便的にも多くの人に利益をもたらすはずだ。
 まだ世界中のどのガイドブックにも掲載されていないであろう最新情報として、以下に今回の騒動による重要な変更点などを箇条書きにまとめてみた。

  • ACE はストリップ地区を走る急行。停車するバス停の数は大幅に減少。移動時間の大幅な短縮に成功。

  • ACE の北行き路線は従来の DEUCE よりも延長され、ダウンタウンを通り過ぎプレミアムアウトレットが終点。ただしアウトレットが営業していない深夜の時間帯はダウンタウンが終点。

  • ACE の南行き路線は、従来の DEUCE と同様、タウンスクエアやラスベガスアウトレットに行く。急行なので大幅な時間短縮に成功。

  • DEUCE の南行きはマンダレイベイホテルが終点。そこからUターンして引き続き北行きに。

  • DEUCE の北行きはサハラホテルから西に向かいパレスステーションが終点。

  • ACE は高速運行を目指すため、乗車の際の料金支払いや乗車券の読み取りなどによる停車時間を減らすことを目的に、乗車時の料金徴収やチェックを完全に廃止。すべての乗客は、バス停に設置された券売機で事前に乗車券を購入しなければならない。乗車時にはその乗車券のチェックを行なわず、車内にて同乗スタッフが乗車券のチェックを行う。

  • 料金体系は DEUCE も ACE もまったく同じで、乗車券は相互に利用可能。一番安い基本となる1回券($3)は、発券時間から2時間有効。時間内であれば何度でも乗降可能。

  • ACE の北行き路線はラスベガスコンベンションセンターに立ち寄る。その代わり、リビエラ、サーカスサーカスの前は通らない。

  • ACE が停車するストリップ地区のバス停の位置は、北行きがマンダレイベイ、MGM、パリス、ウィン。南行きがファッションショーモール、ベラージオ、エクスカリバー、マンダレイベイのそれぞれ4ヶ所。

 細かい料金表や詳しい路線図、さらに券売機の利用方法、運行間隔などに関しては、このラスベガス大全の [市内交通]セクションに掲載。


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