週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 02月 24日号
シルクのファン必見、マクドナルド氏のギャラリーがオープン
 2月19日、これまで仮オープン状態だった人気サーカス団シルク・ドゥ・ソレイユのアートギャラリーがシティーセンター内に正式オープンした。
 2年前にベラージオホテル内にもオープンしているので今回の施設は2号館ということになる。
 どちらの施設も展示作品はリチャード・マクドナルド氏 (写真右下) の彫刻が大部分で、事実上、その彫刻のための独占的な展示場と考えてよい。
 展示作品のほとんどは値札が付いた商品でもあり、そういう意味では展示場というよりも即売場といったほうが正しいかもしれない。

 マクドナルド氏は、シルク・ドゥ・ソレイユがステージで演じるワンシーンなどを捉えたブロンズ像のアーティストで、今回のオープニングセレモニーにも自ら出席し、来場者一人ひとりと握手するなどファンサービスも忘れない人気芸術家だ。
 突然の取材にも快く応じてくれ、著名人にありがちな冷たい横柄な態度はみじんも無く、メディアの間でもすこぶる評判が良い。日本にシルクのファンが多いことなど日本市場に対する造詣も深く、東京での展示会にも意欲を見せていた。(右上の写真はオープン日の翌日に撮影)

 北カリフォルニアの海辺にアトリエを構えるマクドナルド氏は今年64才。もともとは彫刻、版画、絵画など幅広いジャンルを手がけるアーティストだったが、近年は活動時間のほとんどをシルクの彫刻につぎ込んでいる。
 マクドナルド氏とシルクの出会いは 1999年の 「ドラリオン」 公演で、躍動感あふれる人間の動きを得意としていた同氏は、そのときのシルクの役者にほれ込み、その中からひとりのジャグラーをモデルとしてアトリエに招き、記念すべきシルクの第一号となる作品を造った。
 その後もシルクの団員をモデルにした作品を次々と造り続け、ついに2005年、シルクの創設者ギー・ラリベルテ氏と意気投合し、独占契約を結ぶことに。シルクの団員はマクドナルド氏以外の芸術家のモデルになってはならないと同時に、その彫刻作品の管理や販売はすべてシルクが独占的に行うことで合意した。

 彫刻といっても石膏などで原型を造り、それを元に鋳造するブロンズ像のため、一つ一つの作品のすべてがゼロからの手彫りというわけではない。
 したがって、それぞれの作品には10〜200程度のエディッションがあり、その数が少なければ少ないほど希少性が増し商品価値は上がる。
 価格は小さい作品でも 3500ドル以上と決して安くはないが、買い取り市場も形成されつつあり、投資の対象にもなるという。
 同じような大きさの作品でも、エディッションの総数の違いにより10倍以上の価格差があったりするので見た目のサイズだけでは価値はわかりにくい。実際に、小さいながらも1万ドルを超える作品が数多く展示されている。
 この不景気の時勢に買う人がどれほどいるのか少々気になったが、1時間ほどの間に2組が購入契約を交わしていた。グランドオープン日という特殊な条件を差し引いて考える必要はあるが、とにかく買う人がいることだけはたしかなようだ。ちなみに買った商品は日本にも発送してもらえる (送料は別)。

 大多数の人にとっては簡単に手を出せる価格ではないので、買うことを前提に行く人はほとんどいないと思われるが、見るだけでも行ってみて後悔するような場所ではないので、ぜひ行ってみるとよいだろう。もちろんシルクのファンにとっては必見の場所であることは言うまでもない。入館料は無料。
 最後に余談を。マクドナルド氏は非常に親切に対応してくれたが、その会話の中で、「価格はまちがいなく上がるはず。買って損をすることはない。ボクが保証するよ」 といった感じのことを何度も繰り返していた。現場のセールスマンならともかく、芸術家本人の話としてはいささか違和感を覚えた。
 現在の展示作品数は約100点。開館時間は午前10時から深夜12時まで。場所はストリップ大通りからシティーセンター内の大型ホテル「アリア」に向かう途中 (モノレールの軌道まで行くと行きすぎ) の左側。


バックナンバーリストへもどる