週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 02月 17日号
キッチン + モール + 格安、 3拍子そろったウェストゲート
 今ラスベガスで最も新しいホテル Westgate。キッチン付きで宿泊料金も非常に安いというのでさっそく泊まってみた。(写真右、クリックで拡大)

 正式名称は、Planet Hollywood Towers by Westgate。地上52階、1200部屋、場所はプラネットハリウッドホテルの敷地内で、全館が正式にオープンしたのは今年の1月。出来立てのほやほやの大型ホテルだ。
 しかし規模や好立地のわりには今ひとつ注目されていない。理由は二つ。すぐ向かい側に大型複合施設シティーセンターが完成し、その中にアリア、ヴィダラ、マンダリンオリエンタルなど話題のホテルが12月に次々とオープンしたため相対的に目立たなかったことと、このホテルは厳密にはホテルではないからだ。

 ホテルでないならば、これは何か。答えはタイムシェア (←クリックで解説) だ。近年ラスベガスでは、タイムシェアとコンドミニアムホテル (←同) という形態の宿泊施設が、一般のホテル市場の中に大量に放出され、ホテルとして普通に利用できるようになっている。
 そのようなことになってきた理由は簡単だ。不景気でタイムシェアやコンドホテルが売れないからだ。売れなければデベロッパーとしては有効利用を考える。つまり売れるまではホテルとして利用しようというわけだ。デベロッパーにとっては苦難ではあるが、一般観光客にとっては、不動産として販売されるゴージャスな物件 (総じてホテルよりもゴージャス)をホテルの感覚で利用できるという意味では決して悪い話ではないだろう。

 タイムシェアやコンドホテルが一般のホテルと最も大きく異なる部分はキッチンの有無。
 右の写真はウェストゲートのスタンダードルームの中に装備されているキッチンで (この程度のサイズだとキッチンではなくキチネットと呼ぶべきかもしれないが)、このようにタイムシェアやコンドホテルには必ずキッチンが付いている。
 わざわざ旅行先で料理をする必要もないが、世界不況のこのご時勢、自炊で少しでも節約したいという者がいても不思議ではない。本格的な料理は作らないまでも、カップ麺や、レストランでの食べ残しを持ち帰り電子レンジで加熱して食べるなど、それなりの利用の仕方はいくらでもありそうだ。そういう節約行動がこの街の経済をさらに悪化させることになるので推奨できる行為ではないが、「食事代が安く済むならラスベガスに行きたい」 という新たな旅行需要が増えるのであればそれはそれでいいだろう。

 キッチン付きという利点がある反面、ラスベガスのタイムシェアやコンドホテルには立地条件があまりよくないという欠点もある。つまりメインストリートであるストリップ大通りから総じて遠い。
 具体的な名前を挙げるならば、ヴィダラ (週刊ラスベガスニュース 673号で特集)、トランプ (同585号)、MGMシグネチャー(同540号)、ヒルトングランドバケーションズ(同413号)、パームスプレイス、これらコンドホテルもしくはタイムシェア (これらすべて現時点でホテルとして利用可能) はどれもストリップからやや奥まった場所にあるか、中心街から離れたエリアに立地している。
 ところが今回紹介するウェストゲートはストリップからやや奥まっているものの、その距離はわずかであるばかりか、ストリップまで人気のショッピングモール 「ミラクルマイル」 でつながっているので、実際に利用してみて 「離れている」という印象はほとんど受けない。(右上の写真内の右側の建物がウェストゲート、左側がプラネットハリウッド、その中間がミラクルマイル)

 さらにうれしいことに宿泊料金が安い。ホテル予約専門サイト エクスペディア で向こう数週間の宿泊料金を調べてみると、日によって多少ばらつきはあるものの平日ならばおおむね 8000円台だ。もちろんこれは一泊一部屋の料金なので二人で泊まれば一人の負担は半額になる。週末はかなり高くなるが、それでもキッチンがないベラージオやウィンの半分もしない。
 さまざまな条件を総合的に考えるとコストパフォーマンスは抜群で、かなり利用価値が高いといってよいのではないか。もちろん欠点も少なくないが、それらを差し引いても十分に利用価値があるように思える。
 以下に利点 ()、欠点 ()、そして利点でも欠点でもない補足情報 () をまとめてみた。

 駐車場とロビー (写真右) の位置関係が、他のホテルのそれに比べて非常に便利。従来からあるプラネットハリウッドホテルの駐車場の南端の部分に新たな通路が造られ、駐車場とロビーが直結。レンタカー族には大いなる利点。
 ショッピングモールと直結しているばかりか、またそのモール内にABCストア (同677号) があり非常に便利。
 キッチンには冷蔵庫、電子レンジ、食器洗い機、トースター、コーヒーメーカーなどの他、ナイフ、フォーク、皿、各種グラス、どんぶり、などの食器類も用意されている。ただし箸はない。
 ロビー周辺に非常にたくさんのソファーがあり (ラスベガスのホテルとしてはきわめて異例)、実際にすわれて便利であるばかりか、周辺を歩いていて視覚的にゆったりしていて落ちつく。
 客室内のソファーはベッドになる。
 インターネット接続料金(24時間、$9.95)が他のホテルの一般的な相場 ($14前後)に比べて安い。また 3日 $19.95、7日 $39.95 という割引料金もある。
 バスタブがバブルジェット式になっている。
 冷蔵庫に有料ドリンクなどが入っていないので、買ってきた食材などを入れるスペースが十分にある。
 ルームサービスの注文や室内環境の設定など、パナソニック製42インチのフラットTVでさまざまなことができる。リモコンの操作性も高くわかりやすい。
 窓は開かないが、窓の下に新鮮な外気を取り込むためのスリットがある。

 部屋全体はタイムシェアの部屋としてはかなり狭い。面積的には一般のホテルの部屋と大差ない。ゴージャス感も期待しないほうがよい。
 キッチンといっても実際にはキチネットと呼ぶべきサイズで、ちなみにそのカウンタートップのサイズは 140 x 63cm。シンクのサイズもどんぶりを洗うのがやっとの大きさ。
 キッチンには電子レンジ、トースター、コーヒーメーカーはあるものの、コンロがないのでナベやフライパンを使った料理はできない。
 インテリアの基調カラーはブラック。好みの違いで高級感があるように見えなくもないが、家具類がコンテンポラリーなためか、少なくとも重厚感は無い。また、それら家具は光沢があるなめらかな表面になっているため、黒の宿命ともいいえるホコリが目立ち、掃除が行き届いていないところがすぐに見えてしまう。また開業1カ月しか経過していないにもかかわらず、家具などの表面に細かいキズが目立つ。
 洗面台のシンクは1つしかない (写真右)。最近の高級ホテルでは2つが常識になりつつあるので、やや貧弱に見える。
 スタンダードルームにおいてはすべての部屋がキングサイズベッド1台で、クイーンサイズベッド2台の部屋がない。夫婦やカップルの利用には問題ないが、友人同士などの利用には不便。(ただしソファーがベッドになるので、それを利用することは可能)
 バスタブと区別されたシャワーブースはない。
 現在キッチンには食器などさまざまなものが用意されているが、それらを毎日管理するコストは小さくないそうで、将来的にはそれらを片付けてしまう可能性がある。

 全室禁煙になっているため、喫煙ルームは存在しない。
 ベッドには大小さまざまな枕が合計9個も置かれている (写真右)。選べるという意味ではありがたいが、不要な枕の置き場所に困る。
 好みの問題なので必ずしも欠点とはいえないが、ベッドの高さが異常に高く、軽く腰掛けようと思っても飛び乗るようにすわる必要があり、また、よほど足が長い場合を除き、足が床に付くことはない。
 電子レンジはオーブンにもなるタイプなので、発泡スチロール、ラップ、紙などを含むモノを過熱する際には設定に注意。


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