週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 01月 27日号
マンダリンオリエンタルで "本場" のアフタヌーンティー
 先月オープンしたばかりの高級ブティックホテル、マンダリン・オリエンタル。(右の写真はその玄関)
 その中にアフタヌーンティーを楽しめるラウンジがあるというのでさっそく行ってみた。
 「ブティックホテル」 とは、小規模でありながらも他とはどこかちがう小洒落たホテルのこと。一般の都市では100室を超えるようなホテルはそのイメージから遠ざかるが、3000室を超える巨大ホテルが林立するラスベガスにおいては、392室のこのマンダリンは十分にブティックホテルだ。

 外観は大きな高層ビルだが (右の写真内の左側のビル)、そのすべてがこのホテルというわけではない。マンダリンはビル全体の下半分だけで、上半分は日本でいうところの分譲マンション。
 このビル内にはカジノもなければ劇場もなく、アトラクション施設のようなものも特にない。
 なにごとにおいても派手なラスベガスで、ひっそり静まり返ったこの上品なホテルは規模的にも内容的にも極めて異色の存在だ。

 そんなこのホテルの数少ない注目の施設がアフタヌーンティー。日本のシティーホテルでもすでに一般的になっており、またラスベガスにおいてもいくつか存在しているが、ここのものは本家本元といった感じでなにやら興味をそそられる。なぜならマンダリンのルーツは香港だからだ。
 アフタヌーンティーは周知の通り英国の上流階級の文化。香港はいうまでもなく歴史的に英国の文化が染み付いた都市で、もちろん香港自体もティーに対する造詣が深い中国文化を伝承している。
 そんな香港の高級ブティックホテルが英国文化をラスベガスに持って来たというわけだが、「英国とお茶」 といえばボストン茶会事件ぐらいしか連想しそうもない多くのアメリカの大衆にとってアフタヌーンティーなど興味の対象外と思われるが、中国に勝るとも劣らないお茶文化を持つ日本人としては行ってみないわけにはいかない。

 現場はこのビルの23階。右の写真は隣接するモンテカルロホテルのマーキーと一緒に撮り込んだものだが、ビルの中間付近で黒っぽく見えるガラス張りの部分が23階だ。マンダリンのフロントロビーもここにあり、この階よりも上がコンドミニアム、下が客室フロアになっている。
 1階は玄関があるだけなので、チェックインをする宿泊客たちと一緒にエレベーターに乗り23階に向かうことになる。到着するとすぐ目の前がいかにもこのホテルらしい小洒落たチェックインカウンターになっていて、その脇にあるのが目的のラウンジだ。

 客室数を考えると当然かもしれないが、ラウンジのサイズは非常に小さい。10組も入れば満席といった感じだ。ちなみに右の写真に写っている部分で全体の3分の2程度。
 実際に満席のことが多く、あらかじめ予約を入れてから行ったほうがいいが、予約がちゃんと入っていなかったというトラブルをすでに何回か聞いているし、実際に今回それを体験した。
 まだ開業直後で現場のオペレーションがうまく機能していないということで予約ミスは黙認することとし、待つこと約20分。窓際の席に案内される。

 窓から見える景色はこのホテルの北側で、プラネットハリウッドホテル、パリスホテル、エッフェル塔などを臨むことになる。
 ちなみに右の写真も上の写真も夕暮れ時のものだが、この店のアフタヌーンティーの時間帯は3時から5時。今の季節はすぐに日が暮れるので、ゆっくりしていれば夜景を見ることも可能だ。
 余談になるが、5時を過ぎると、このラウンジのとなりにあるバーがオープンする。そこからは北側のみならず、モンテカルロ、MGMグランド、ニューヨークニューヨークなど南側に位置するホテルを中心とした夜景を楽しむことができる。

 香港からの転勤か当地での採用かは不明だが (労働ビザの関係でたぶん当地採用と思われる)、このラウンジの現場スタッフはほとんどがアジア系。彼女たちの笑顔はどことなく落ちつく。
 手渡されたメニューを見ると、ケーキやチョコレートなどの単品もあるが、ここはもちろん 「クラシック・イングリッシュ・アフタヌーンティー」 をオーダー。料金は40ドル。日本とちがい外税表記なので、これに8.1%の消費税とチップが必要になる。(右上の写真はスコーンに付ける各種ジャム類)

 選択できるティーは以下の15種類。(メニューに書かれているそのままの表記。青と緑は前後の境界を区別しやすくするための色分けで他に意味はない)
 North American Ginseng Single HerbalIntrospection Herbal BlendsJasmine Earl GreyJetlag PM RelaxLife Through Water Rejuvenating TeaPeace Through Water Calming Herbal TeaCold & Flu Blend Comforting Herbal TeaMandarine Orange BlendPu-Erh Tou ChaJasmine PearlMandarine BlossomsOrganic Lychee GreenJasmine Green OolongMatchaOsmanthus Oolong

 Matcha という単語に目がとまったので思わずそれをオーダー。日本から到着したばかりの同席者はちょうど時差ボケだったので、それに効くという Jetlag PM Relax を試みることに。ちなみにメニューには各ティーの効能が書かれている。
 竹の茶せんでたてることをイメージしていた Matcha をオーダーした際、「ミルクを付けてラテにしますか?」 と聞かれたので一瞬その意外性に驚いたが、スターバックスなどではすでにそれに似たアイテムがあるのですぐに納得。もちろん試しにミルクもリクエスト。この写真の左側にあるのがそのミルクで、自分で好きな量だけ入れて独自の抹茶ラテを作ることができる。もちろんたくさん入れても冷えないようにミルクは温められている。
 抹茶をこのような入れ物でたくさん飲むのもなんとも奇妙な感じだが、ミルクとうまくマッチしているのか好感が持てる味だった。少なくとも薬草系の臭みがあるティーよりはよほど万人受けするように思えた。
  Jetlag PM Relax (写真右) は独特な香りを放つハーブ系だが、決して変なクセがあるわけではなく、これはこれでよいといった感じ。ただしもう一度オーダーするかと言われれば、たぶんしないだろう。それはもっと他のティーも味わってみたいからだ。なお、ティーの種類によっては (特に粉末系以外のティーバッグではない葉っぱ系のティーの場合)、この写真のように固形燃料が入った台と一緒にサーブされるので、温度にこだわりたい場合はその種のティーをオーダーするとよい。

 さてやっと主役の三段皿について。ティースタンドは写真の通り、テーブルの上に置くタイプではなく、床から足が伸びる背の高い三段スタンド。
 スタンドは大きいものの、皿の上は量的にも内容的にも期待していたほど立派ではない。上段にサンドイッチ、中段にスコーン、下段にチョコレートやプチケーキ。この程度が英国のスタンダードといわれてしまえばそれまでだが、最近の日本のアフタヌーンティーが異常に豪華になってきているだけに、それを知る者にとっては、いまひとつインパクトに欠ける。
 とはいっても、アフタヌーンティーは本来ティーを楽しみながらの社交がメインであり、この種のフィンガーフードに大きな期待をしたり量を求めることがまちがっているのかもしれない。利用者の多くは、空間の雰囲気やティーを重視しているのではないか。
 そういう意味では、カジノの喧騒や超大盛りのアメリカ料理にうんざりしやすいラスベガスにおいて、静かで上品な雰囲気が漂うこのラウンジは非常に貴重な存在だ。多くのティーの味もたぶん満足できるレベルにあるはずなので、興味がある者はぜひ足を運んでみるとよいだろう。少なくとも、「また別の種類のティーで楽しんでみたい」 という気にさせてくれるラウンジではあったように思える。
 場所はシティーセンターの南端。モンテカルロホテルのすぐとなりと考えたほうがわかりやすいかもしれない。

 最後に蛇足になるが、メニューの中に Chocolate Bento ($35) というものがある。Bento とは日本の弁当箱を意味しているようで、最近のアメリカの飲食業界においては箱型の器などに対してしばしば使われる言葉だ。
 この 「チョコレート・ベントウ」 は、「クラシック・イングリッシュ・アフタヌーンティー」 に付いてくる三段皿の代わりにチョコレートが重箱のようなスタイルでサーブされる (写真右上)。
 その器が陶器や磁器でできているのか金属製なのかはよくわからないが異常に重く、なおかつ内側の全面がゴールドの光沢になっているところがなんとも成金趣味的でおもしろい。チョコレートは4種類と量的には三段皿のフィンガーフードより少ないが、甘すぎず上品な味にまとまっているので、人によってはこちらのほうが楽しめるかもしれない。あと、これは食べてはいないが、Miniature Cupcake Bento ($34) というものもあることを付け加えておきたい。


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