週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年11月29日号
被害者急増、デタラメ価格に注意!
 最近、「ぼったくられた!」、「ボラれたので注意を喚起して欲しい」 といったメールが寄せられる。
 ビールやフィルムを一般価格の数倍で買わされたり、レストランでロブスターやワインに数百ドル支払わされたという被害者たちからだ。

 いろいろ調べてみると、どうやらその種のトラブルはここ数ヶ月で急増しているようだ。また、寄せられた情報からすでに “トラブル現場” もかなり特定できている。ごく普通に存在しているストリップ周辺のストアやレストランが現場だ。

 被害者をこれ以上増やさないためにも店名などを公表すべきだろうが、営業妨害などの法的論争に巻き込まれる恐れもあるため、あえて店名の公表は避けることとする。アメリカの法律では特殊な商品やサービスを除き、「販売価格は売り手と買い手の自由な意思と同意の元で決めらるべきもので、それ以外の者が価格決定に介入してはならない」 という原理原則があるからだ。メーカーやディストリビューターさえも一度手放した商品に対して小売店などにその商品の再販価格を強制的に指定することは許されていない。それを犯した者には懲役刑までが用意されている。これは価格カルテルや談合を防止し、自由競争原理を最高の理念とするアメリカ資本主義の金科玉条だ。(日本も原則としてそうだが、タバコ、書籍、新聞など例外が多すぎる上、罰則も甘い)

 その法律が良いかどうかの議論は別にして、一般相場の数倍の価格で商品を販売しても原則として違法行為にはならない。もちろん人種によって販売価格を変えたりした場合は別の理由で厳しく罰せられるが、最近多発している一連のトラブルにおいてそれを立証することはむずかしいだろう。

 したがって被害から身を守る手段は、「価格に納得しなければ買わないこと」 「買う意思表示をする前に必ず価格を確認する」 ということだろう。
 また、レストランなどにおいては時価、つまり [Market Price] もしくは [Seasonal] などと表示されているアイテム、たとえば生きたロブスターなどを注文する際、重さ当たりの価格なのか全体の価格なのかを事前によく確認する必要がある。

 ビール1本 $5、フィルム1本 $20、乾電池 $20 などで買わされたという被害者に共通しているコメントは、「高いとは思ったが、相場をハッキリ知っていなかったため英語で論争する自信がなかった」 というものだ。したがって今週はストリップ周辺における各店舗形態ごとの商品価格の相場をレポートしてみたい。

 商品は観光客が買い求める代表的なアイテムとして以下の物を選んでみた。

 ・ ビール (Budweiser 350ml 缶、1缶のバラ売り価格 )
 ・ 炭酸飲料 (Coca Cola 350ml 缶、1缶のバラ売り価格 )
 ・ ミネラルウォーター (EVIAN 500ml ペットボトル、1本のバラ売り価格 )
 ・ フィルム (Kodak 35mm ネガフィルム ASA 100 36枚撮 )
 ・ 乾電池 (Duracell 単三 4本入りパック)
 ・ タバコ (Marlboro Lights、1箱のバラ売り価格)

 調査店はストリップ地区にあるコンビニ、ディスカウント&ドラッグストア、ギフトショップ、ホテル内の売店、そして参考までにストリップ地区ではないが、地元住民がごく普通に利用するスーパーマーケット、の中から以下の代表的な店を選んでみた。

 ・ コンビニ am-pm (エクスカリバーホテルの隣)
 ・ ディスカウント&ドラッグストア Walgreens (モンテカルロホテル前)
 ・ ギフトショップ Grand Canyon Experience (ニューヨークニューヨークホテル前)
 ・ ホテル内の売店 (モンテカルロホテル内)
 ・ スーパーマーケット VONS (ラスベガス郊外)

 2000年 11月 28日 調査
商品 ・ 店 am-pm Walgreens GC.Experience Monte Carlo VONS
ビール $0.99  *1 N/A  $1.21  $1.75  *2 $0.56 
炭酸飲料 $0.75  $0.69  $0.79  $0.99  *3 $0.25 
*4 $1.19  $1.09  $1.59  *5 $1.25  $0.75 
フィルム $5.49  $5.69  $5.99  $6.99  *6 $2.29 
乾電池 $4.59  $4.59  *7 $3.98  *8 $5.50  $5.05 
タバコ $2.89  $3.25  $4.00  $5.00  *9 $2.62 

 *1 Walgreens はアルコール製品を取り扱っていない
 *2 2ダースパックを買った場合の1本の値段
 *3 3ダース買った場合の1本の値段
 *4 EVIAN を置いていなかったため Sparklett ブランドの商品
 *5 EVIAN を置いていなかったため Monte Carlo ブランドの商品 (OEM品)
 *6 4本入りパックを買った場合の1本の値段
 *7 DURACELL ブランドを置いていなかったため Panasonic ブランドの商品
 *8 DURACELL ブランドを置いていなかったため Panasonic ブランドの商品
 *9 10箱入り 1カートンを買った場合の1箱の値段

 この表を見る限り、ラスベガスの一般市民が利用している VONS に比べ、その他の店は乾電池を除いて大幅に高い価格設定になっていることがわかるが、これを 「ぼったくり価格」 と考えるのは早計だろう。
 ストリップという世界に冠たる目抜き通りに立地する店は土地の値段や家賃が飛び抜けて高いばかりか、倉庫や交通事情といった物流に関する諸条件が郊外型スーパーマーケットとはあまりにも違うからだ。また販売単位も異なる。そう考えると、上記各店は総じてその地理的条件や便利さに見合った価格を提示していると考えてよいのではないだろうか。
 いずれにせよ、レジで 「ビール1本 $5」 などと言ってくる店に遭遇した場合は、ハッキリ断って店を出るべきだろう。英語が苦手なことを理由に納得しないまま買ってしまうべきでは決してない。仮に金銭的に余裕があっても、それは避けるべきだろう。店側に 「日本人は言いなりで買ってくれる」 と思わせてしまうことは、あとからラスベガスを訪問する日本人が同じ被害に合ってしまうからだ。


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