週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年9月13日号
アラジンに The London Club がオープン
 9月5日、アラジンホテル内に高級プライベートカジノクラブ The London Club が厳かにオープンした。 (ダイニングルームなど一部の施設が未完成だったこともあり、これまでは仮オープン状態だった)

 場所はアラジンホテルの一般大衆向けカジノフロアのひとつ上の階にあり、広さは約 3200平方メートル。この数字はともかく、体感的には下に見える一般大衆向けカジノ (吹き抜け状の広大な空間になっているため The London Club の一部の場所から下のカジノが見える) の約5分の1程度の広さといった感じだ。
 その中にカジノ、バー、ライブステージ、プライベートラウンジ、バルコニーエリアなどが絶妙に配置されており、下層階のカジノとは一線を画した高級感あふれる空間が形成されている。
 飾られている絵画、彫刻などはもちろんのこと、ソファー、テーブル、照明器具などの調度品から床や壁などの建材に至るまですべてを一級品でまとめているとのことで、アラジンホテルの建設費のかなりの部分がこの The London Club の建設に費やされたという。

 一方、どんなに高級であろうと、また、ラウンジが存在しようがダイニングルームが存在しようが、ここがカジノであることに変わりはなく、同じホテル内にカジノが2つ存在する理由は誰もが大いに気になるところだろう。
 クラブ側の広報担当者の説明によると 「こちらはハイエンドのみをターゲットとしたカジノであり、下とはまったく別の存在です」 とのこと。
 しかし一般のカジノフロア内にもハイローラー向けのいわゆる “ハイリミットセクション” が立派に存在しており、それとの違いを改めて問うと、「あちらはハイローラー向け、こちらはハイエンド向け」 とのなんとも奇妙な返事が返ってきたが、ようするに 「お金持ち向け」 と 「ハイソサエティー向け」 と考えればよさそうだ。
 たしかにハイリミットセクションよりもこちらの方が平均賭け金が少ないように見受けられた。ハイリミットセクションでは最低でも 1回の勝負に $500 程度を賭けるギャンブラーが中心的存在だが、こちら The London Club では $100 程度の “小銭” を賭けながら優雅にプレーしているハイソの奥様族なども少なくない (ミニマム $100のテーブルも多数あり)。どうやらこのクラブがターゲットとする客層は賭け金の大小ではないということのようだ。

 そもそも今回オープンした The London Club は、London Clubs International 社がヨーロッパに6店舗展開する高級カジノクラブのラスベガス版であり、アメリカ上陸は今回が初めてだという。そしてラスベガス店もヨーロッパ的ハイソサエティー、具体的にはヨーロッパおよびアラブの富裕層をターゲットとしたマーケティングをしていくとのことで、単なるハイローラーとは別の客層をねらっているという。
 ハイリミットセクションとの間で客の奪い合いにならないか少々気になるところだが、実はアラジンホテル自体の経営母体が London Clubs International 社を中心としたジョイントベンチャーなのでその心配はないようだ。ただ、現在のハイリミットセクションでプレーするハイローラーたちがこの The London Club の存在を知った場合、主戦場をこちらへ移す可能性が非常に高く (ゴージャスさが違うため)、遅かれ早かれハイリミットセクションは The London Club へ吸収されてしまうのではないだろうか。

 ゲームの種類とその数は、ブラックジャックテーブルが 15台、バカラ8台、ルーレット3台、クラップス2台、ミニバカラ 2台、パイゴウポーカー1台といった配分だが、この比率に関しては今後の需要などを見ながら随時変更するという。
 ミニマムベットはほとんどが $100 で特に高い設定にはなっていない。ルールはほとんど 「ストリップ標準」 だが、ルーレットだけはヨーロッパスタイルを踏襲しているのか 3台ともシングルゼロ台となっている。
 マシンゲームは少ないながらも $100台、$25台、$5台を中心に、$1の MEGABUCKS や WHEEL OF FORTUNE などの庶民的なマシンも数台ある。

 カジノの奥には超ゴージャスなトイレ、壁で隔たれたその横には高級感あふれるラウンジとバー、さらにその脇にはライブバンド用の小さなステージが設けられている。
 その奥の通路をさらに進むとプライベートダイニングルームが隠れるように潜んでいる。料理のジャンルはフレンチからイタリアン、さらにはオリエンタル料理に至るまで非常に多彩で、料金体系はご多分にもれずラスベガスで最高水準となっているが、ここで自腹を切って食事をする者は少ないと思われるので(ほとんどがコンプ客だろう)、値段のことなどどうでもよさそうだ。
 ダイニングルームの奥はストリップ大通りを見下ろせるバルコニースタイルの屋外ラウンジになっているが、残念ながらベラージオの噴水などは角度的にほとんど見ることができず大した景色は望めない。

 The London Club はただ単に豪華というだけでなく、使い勝手の良さも自慢だ。クラブのすぐ近くに用意されている専用エレベーターはスイートルームやバレーパーキングエリアに直結しており、騒々しい大衆カジノを通過せずに必要な場所へアクセスできるようになっている。

 さて、「プライベートクラブ」 と聞かされると誰もが気になるのはその入会基準だろう。実は入会基準は存在しない。つまり誰でも入会できるということだ。そんなクラブを 「プライベート」 と呼ぶことには異論もあるだろうが、クラブ側がそう表現しているので仕方がない。
 人種や身分などで基準を設けることは法律で禁じられているばかりか、あまり条件を厳しくしてしまうと営業的にマイナスなのか、基本的には金さえ持っていれば誰でも入会できる。
 また、ダイニングルームだけはジャケット着用となっているものの、カジノへの入場にはあまり厳しいドレスコードなど無く、ジーパンにサンダルといった極端にラフな服装でない限り入場可能だ。

 入会手続はホストがラウンジなどでサポートしてくれる場合もあるが、原則としてカジノ奥の左側にある受付カウンターで行う。
 基本的には他のカジノとまったく同じ要領で、まず米国在住者の場合は入会申込書にソーシャルセキュリティー番号、銀行の小切手口座番号などを記入し運転免許証と一緒に提出する。その場でオンラインを使って Trans Union、 Equifax、TRW/Experian (3社とも全米規模の信用調査機関) と照合し、与信枠を設定してもらえる。
 クレジットヒストリーが悪い者は審査に落ちるが、そうでなければ照合や審査に時間がかかっても 48時間以内にはメンバーカードを発行してもらえるのが普通だ。与信枠の大小はその者の信用度によって異なるが、たとえば 5万ドルが与えられた場合は、ブラックジャックテーブルなどで5万ドルまではサインひとつで引き出すことができるということになる。
 もしプレーで負けて引き出した金を失ってしまった場合は、後日請求書が自宅に送られてくるので支払い期限以内に小切手をカジノ側に郵送する。もちろん勝った場合は引き出した分との差額を現金で持ち帰ることが可能だ。
 次に日本からの観光客など、アメリカの信用調査機関に記録がない者の場合だが、残念ながら経済的な信用力の確認ができないため、マーカープレーを望む場合は原則としてフロントマネーを要求される。いくら積めばよいかなどの明確な基準はないが、使わなかった分は持ち帰ることができるので、キリのいいところで1万ドルも積めば十分だろう。
 なお入会手続に際してわからないことがあっても、マンツーマンで担当者が付いてくれるので何ら心配することはない。残念ながら現時点では日本語を話すカジノホストはいないという。

 最後に、クラブ側がその広報資料などでハッキリと 「ヨーロッパや中東の富裕層がターゲット」 としているため、このラスベガス大全で採り上げることにより日本人メンバーが増加し、彼らが意図するコンセプトの維持が困難になるのではないかと危惧もしたが、実際にはアジア系ハイローラー (特に地理的に近いカリフォルニア在住の中国系ギャンブラー)の集客活動にかなり力を入れており、プレーしていたギャンブラーはもちろんのこと、現場にいたスタッフのかなりの数が中国系だったことを考え、特に問題なしと判断しここで採り上げることにした。自分自身で “ハイエンド”と思える者は遠慮なくメンバー登録してみるとよいだろう。

* 記事内の単語の意味がわからない場合は [ディクショナリ] セクションを参照してください。
* 先方のPR部との連絡不手際などで現場の写真を入手し掲載することができませんでしたことを深くお詫び申し上げます。


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