週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年8月30日号
デザートイン、50年の歴史に幕
 ラスベガス屈指の高級ホテル・デザートインが 28日、当初の予定よりも数日早く、すべての営業活動を打ち切りその50年の歴史に幕を下ろした。(右の写真は 27日夕方に撮影)
 由緒ある名門ホテルなだけに、その最後は派手なパフォーマンスなどで締めくくられるのではないかと期待していた者も多かったようだが、拍子抜けするほどあっけない幕切れだった。
 数日前からルーレットテーブルとクラップステーブルがそれぞれ1台ずつ、ブラックジャックテーブルもわずか3台ほどしか開帳していないという寂しい営業を続けていたカジノ部門は客室部門よりも一足早く 28日未明に営業が打ち切られた。
 わずか半年前には約 3500万ドルという空前のジャックポットが飛び出し世界中のマスコミからスポットライトを浴びた歴史的スロットマシン “Megabucks” の電光掲示板にも、当時の出来事が嘘のように寂しくゼロが並ぶだけで (←クリック)、それを撮影する地元メディアのカメラマンの姿も心なしか寂しげだった。
 28日朝には早くもスロットマシンメーカーのトラックなどがやって来て片づけ作業が始められるなど、50年の歴史を誇ったカジノの幕切れは極めて事務的に進められた。

 また、非カジノ部門においても、最後の宿泊客を送り出した直後の 28日午後2時には正面玄関前のドアが静かに閉められ、工事人の手により特殊な鍵がかけられた。この時期のラスベガスとしては珍しく小雨も降り始め、セレモニーもなければホテル側からのスピーチなどもなく、大型カメラを肩に担ぐ報道陣の姿だけがやけに目立つ静かなエンディングとなった。

 デザートインは 1950年に開業した名門ホテルで、一時期あの大富豪ハワードヒューズ氏が所有していたことでも知られる。80年代後半に始まった巨大テーマホテルの建設ブームの直前までは、時代を先取りしたその存在感と高いプレステージで常にラスベガスホテル界の話題の中心的存在だった。
 また隣接するゴルフコース・デザートインカントリークラブでは長年に渡りPGAトーナメントが開催され、かつてはアーノルドパーマー、ジャックニクラウスといった往年のスター選手らが活躍した舞台としても知られ、今でもクラブハウスには当時の名勝負の写真が所狭しと飾られている。

 そんな由緒あるホテルなだけに、古いホテルの閉鎖には慣れっこになってしまった地元民も、このデザートインだけは格別の思い入れがあるのか、最後まで閉鎖に反対する声も聞かれたが、今年から同ホテルの新オーナーとなった Steve Wynn 氏の英断により、50年の歴史に幕を下ろすことになってしまった。
 「いくら由緒あるホテルでも現在の規模では近隣の競合ホテルに勝てず、利益を出せる体質にすることは極めて困難」、というのが Wynn 氏の考えだ。
 驚くことに現在のデザートインはつい 3年前の 97年に約 2億ドルという巨費をかけて増改築を済ませたばかりで、大半の施設はほとんど新品同然だ。また、つい数ヶ月前には来世紀に向けた前途を祝して 50周年記念パーティーが盛大に行われたばかりだ。その直後の閉鎖なだけに、今回の経営方針の急変とその潔い Wynn氏の英断にはただただ驚くばかりで、まさに激しく変化するラスベガスのダイナミズムを象徴するかのような出来事といってよいだろう。
 ちなみに Wynn氏は今年の春までミラージホテルやベラージオホテルで創業者会長として経営の指揮を執っていたが、MGM Grand 社に買収されてしまったことを機会に会長職を辞職し、新天地を求めてデザートインを買い取った、といういきさつがある。

 さて気になる今後のデザートインだが、最も新しい Wynn氏のコメントによると、7ヶ月以内に新しいホテルの建設工事を開始するという。その工事は現在のデザートインの南側にある空き地から開始されるとのことで、既存施設の爆破解体作業よりも先に進めることができるとしている。また、どの施設を爆破解体するかはまだ未定のようだが、2年前に完成したばかりの駐車場は残されることになる見通しだ。
【上から見た現在のデザートインを取り巻く環境】 ←クリック

 新しく建設されるホテルは 50階建て以上の高層棟で規模的には約 3000部屋程度を目標としており、それを最終的には2棟建設するという。新ホテルの名称は 「デザートイン」 以外にするとのことだが、新名称はまだ明らかにされていない。
 開業時期がいつになるのか今の時点ではまったく予測が付かないものの、「ベラージオを超えたラスベガスで一番ゴージャスなホテルにする」 と Wynn 氏の鼻息だけは荒い。
 なお、隣接するゴルフコース・デザートインカントリークラブに関してだが、引き続きあと数ヶ月間は営業を続けるという。来年の秋まではクローズしないという説も飛び交っているが、いずれにせよ、いつ突然閉鎖になるかわからない状況なので、このコースに思い入れのある者はなるべく早い時期にプレーした方がよいだろう。ちなみに 27日にプレーした段階ではメインテナンスのレベルは通常と変わらず、コース途中にある花壇などもきちんと手入れされており、きれいな花が咲き誇っていた。


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