週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年8月23日号
アラジンのショッピングモール Desert Passage
 1980 年代後半から始まったホテル建設ブームの総決算ともいうべき今世紀最後の新設ホテル・アラジンが先週 17日に開業した。
 今回のアラジンのオープンで最も注目を集めているのはなんといってもその大型ショッピングモール Desert Passage で、その立地条件の良さなどから早くもラスベガスの新名所になるのではないかと話題を独占している。今週はそんな Desert Passage の開業直後の様子をレポートしてみたい。
(右の写真はストリップ大通りに面した入口)

 Desert Passage を訪れて誰もが最初に感じる第一印象は、シーザーズパレスの Forum Shops やベネシアンの Grand Canal Shoppes に似ているということだろう。そう思ってしまう最大唯一の理由は天井で、ここ Desert Passage のそれも前二者と同様、通路の頭上には青空が描かれている。東京に完成したビーナスフォートもそうであるように、もはやこの “青空” は室内ショッピングモールをデザインする際のスタンダードとなってしまった感じだ。

 天井の雰囲気は同じでも、モール全体のテーマは大きく異なる。Forum Shops と Grand Canal Shoppes のテーマがそれぞれローマとベニスであるのに対して、こちら Desert Passage のそれはモロッコなどの北アフリカから中近東および東インドまでの地域文化となっている。
 Forum Shops と Grand Canal Shoppes が 「お洒落でファッショナブルなショッピングモール」 で、こちらは 「エキゾチックな異国情緒あふれる怪しげな商店街」 といった感じだ。
 そもそもイタリアも異国であり、「イタリアはお洒落で中東は怪しげな異国情緒」 という発想は根拠のない勝手な偏見だが、一般日本人の感覚からはそんな感じに受け止められてしまうのではないだろうか。

 モール全体の規模は Forum Shops とほぼ同じ、Grand Canal Shoppes よりやや大きいといった感じだ。店舗数は実測値で約 120店 (準備中の店も含めて)。
 前宣伝ではかなり大きなモールであるかのような情報が一人歩きしていたが、体感的にも実測的にも Forum Shops を大きく上回るような規模ではない。
 それでもレイアウト的にはこの Desert Passage が断然使いやすく、また広々感じることだけはたしかだろう。Forum Shops や Grand Canal Shoppes の場合、通路の端が行き止まりになっているため一本の道を往復しなければならないが、 Desert Passage では通路がアラジンホテルの劇場を取り巻くような円形状に配置されており、そのエンドレス構造が開放感をうまく引き出している。
 そしてなんといってもストリップ大通りから近いところが Desert Passage の最大の利点だろう。ストリップの歩道からドアを入ればもうそこはアラビア風の商店街だ。歩道から 100m 以上も奥まった場所に潜んでいる Forum Shops や、カジノの 2階に上がらなければ存在がわかりにくい Grand Canal Shoppes とは対照的だ。

 Forum Shops にはハイテクを駆使した全自動の寸劇が、また Grand Canal Shoppes にはベニスの水路とゴンドラを模倣した話題のアトラクションがそれぞれ存在しているが、Desert Passage の注目はなんといっても雷雨だろう。
 「青天の霹靂」 とでも名付けたくなるこのアトラクションは、青空が広がる商店街に突如雷が鳴り響き雨が降ってくるというユニークな演出だ。もちろんその雨はハイテクを駆使した疑似的な映像などではなく本物の水滴だ。
 なお、このいかにもラスベガスらしい遊び心あふれるパフォーマンスは Desert Passage 全体で見られるわけではない。Harbor Gate と呼ばれる出入口付近にある 20m ほどの細長い池の周囲で(写真右) 約 20分に一度の間隔で行われる。実際に雨に濡れたい者はかなり池の近くまで行って待っていた方がよいだろう。

 さて、ショッピングモールとして一番気になるテナントの顔ぶれだが、超一流ブランドというジャンルを求めるならば Forum Shops に軍配が上がる。こちら Desert Passage にはグッチもルイヴィトンもフェラガモもない。フェンディもエスカーダもブルガリもない。あるのはエディーバウアー、アンテイラー、ヴィクトリアズシークレット、BCBG、GAP、BEBEといった身近なブランドばかりだ。
 その他アパレル以外の著名ブランドとしては、アクセサリーのクリオブルー、筆記具のモンブラン、チョコレートのゴディバ、化粧品のセフォラ、クリニーク、オリジンなどが軒を並べている。

 まだ準備中の店もいくつかあるが、全体の約 9割の店舗はすでにオープンしており、モール全体としてはほぼ完成していると考えてよいだろう。ちなみに上に列挙した店でまだ準備中なのは 23日の午前中の段階で BCBG とヴィクトリアズシークレットだけだ (ヴィクトリアズシークレットは明日にも開業する可能性あり)。

 施設全体に絶えず異国情緒豊かな民族音楽が流れているばかりか、時々通路にストリートパフォーマーが登場するあたりはなんともエキゾチックで楽しい。ラクダに扮した芸人、ヘビ使い風の怪しげな男、民族音楽を奏でるバンド、さらには中東スタイルの人力車までもが商店街を走り抜ける。
 すべてがニセモノ、と言ってしまえばそれまでだが、イスラム文化を肌で感じることができるこのモールはショッピング族ならずともそれなりに楽しめることだろう。場所的にも主要ホテルのほとんどから徒歩の距離にあるので、ぜひ訪れてみることをおすすめする。営業時間は個々の店によってばらつきがあるようだが、おおむね午前10時から深夜12時までとなっている。

(Desert Passage に関する写真は、[写真集] セクションの [アラジン] の中に収録されています)


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