週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年7月19日号
フォーシーズンズホテルのアフタヌーンティー
 ラスベガスの夏はとにかく暑い。湿度が低いため日本のような蒸し暑さは感じないものの、40度を超える砂漠からの熱風は半端ではなく、おのずと日中の行動は制約されてしまう。
 今週は、そんな灼熱のラスベガスの最も暑い時間帯に、騒々しい雑踏を離れ涼しく優雅に過ごせる穴場としてフォーシーズンズホテルのアフタヌーンティーを紹介してみたい。

 炎天下の歩行に疲れると観光やショッピングを楽しむ気力を失ってしまうものだが、だからといって昼間からのギャンブルにはためらいを感じる者も少なくないだろう。そんな時におすすめなのが、フォーシーズンズホテルのメインダイニングルーム “The Verandah” で毎日午後2時から5時まで行われているアフタヌーンティーだ。

 「午後の紅茶」 ことアフタヌーンティーは、もともと英国の上流階級などが午後のひと時をのんびり過ごすための優雅な習慣であり、何もかもが派手で 24時間ダイナミックに躍動するラスベガスにはいささかミスマッチの感が否めず、また、暑い時期の熱い紅茶は季節はずれという感じがしないでもないが、これが意外や意外、今の時期こそここのアフタヌーンティーがおすすめなのである。

 冷房が効いたレストランならいくらでもある。泳ぎたければどこのホテルにも立派なプールがある。アフタヌーンティーもベラージオに行けばある。
 ではなにゆえフォーシーズンズのアフタヌーンティーなのか。それはここが単なる冷房の効いたダイニングルームではなく、ラスベガスでは極めて珍しい 「静寂を与えてくれる憩いの空間」 だからである。
 プールもカジノも高級レストランもすべてが人ごみの中か騒々しいカジノに隣接しているというのがラスベガスの相場だ。しかしこの The Verandah に限ってはまったく別世界で、スロットマシンの音や雑踏とは無縁の環境にある。この特殊な環境を理解するためにはまずフォーシーズンズホテルそのものを知る必要があるだろう。

 ご存じのようにフォーシーズンズは世界的に知られる高級ホテルチェーンだ。ここラスベガスでも突出した存在で、数あるホテルの中で唯一 「ファイブダイヤモンド賞」 (AAA: 全米自動車協会の観光施設ランキング) を受賞したホテルとして知られている。ちなみに、「巨大ホテルではきめ細かなサービスの提供が不可能」(AAA) とのことで、ベラージオもベネシアンもこの賞を受けていない。

 そんなフォーシーズンズだが、驚くことにこのホテルにはカジノもなければ派手なネオンサインもない。また、よほどのことがない限りチェックインの行列もなければチェックアウトの行列もない。さらに自動ドアもなければ案内表示もほとんどない。出入口のドアの開閉や館内の道案内はホテルマンがやるというのがその理由らしい。

 このようにすべてがラスベガスのスタンダードと大きくかけ離れている同ホテルだが、そんな異質のこのホテルのさらに一番奥 (ストリップ大通りから一番遠い位置) に The Verandah はある。
 つまり宿泊者以外にまず訪れることのないそのダイニングルームの閑静かつ優雅な雰囲気が、猛暑に疲れた体を癒すのに最適であり、またそこでのアフタヌーンティーはとかく食欲が無くなりがちな真夏の昼下がりの食事としてはボリューム的にもちょうど良いというわけだ。
 ピアノの音 (もちろんライブ演奏) しか聞こえない静かな空間に身を置き、大きなガラス窓の外に見えるトロピカル風の中庭を眺めながらのアフタヌーンティーは格別で、灼熱のラスベガスにいることを忘れさせてくれることだろう。

 アフタヌーンティーそのものは伝統的な英国スタイルを踏襲した正統派で、ロイヤルダルトン製の三段重ねの食器の最上段にはプレーンスコーンと黒すぐりのスコーン、中段には各種サンドイッチ、下段にはプチフルなどが盛られており、ちなみに取材時における下段はタルト、ケーキ、チョコレート、フルーツなどが上品に並んでいた。
 また三段重ねの食器とは別に、好みで付けて食べるストロベリージャム、レモンクリーム、デヴォンシューレが別皿でサーブされる。
 気になる味だが、上段と中段のアイテムは十分すぎるほどの合格点を上げることができるが、下段のアイテムは日本人には甘すぎる。もともとアフタヌーンティーにおける菓子類は、それ自体を食べることが目的ではなく、ティーを飲む際のツマミと考えるべきなのかもしれないが、それを考慮に入れてもやや甘い。

 ティーの種類は全部で 11種類あり (メニューはここをクリック) 、それぞれレモンで飲むかミルクで飲むか担当のウェイターに聞かれる。
 ティーがサーブされたあとは、ウェイターが頻繁にテーブルにやって来て熱いお湯をポットに注いでくれるので (ティーは何杯でもおかわり自由)、そのつど笑顔でサンキューと言おう。
 なお、それぞれのティーの特色や、レモンとミルクのどっちが合うかなどは、遠慮なく担当のウェイターに尋ねてみよう。もし英語が苦手な場合は日系のウェイター・ウィリアムさんを呼び、「ラスベガス大全を見た」 と言えば日本語で丁寧に説明してもらえることになっている。ちなみにウイリアムさんは水曜日と木曜日を除く毎日午後4時から深夜12時までの勤務なので(The Verandah はティータイム以降も通常のレストランとして深夜まで営業)、遅めに入店しないと会うことができない。

 アフタヌーンティーの営業時間は前述の通り毎日午後2時から午後5時入店まで。料金は一人 $19 + 税 + チップ。予約の必要は特にない。宿泊客以外も入店可能。
 場所は、マンダレイベイホテルのチェックインカウンターに向かって右端に見える通路を道なりに奥へ進み、階段が見えたら下階へ降り、通路を左に進んだ突き当たりだ。
(フォーシーズンズホテルはマンダレイベイホテルの敷地内にある)


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