週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年5月31日号
ベラージオ、美術館閉館でもピカソだけは保持
 5月30日、反対票わずか2%、ほぼ満場一致で MGM Grand 社への身売りが決定した。
 ベラージオ、ミラージ、トレジャーアイランド、ゴールデンナゲットなどを所有運営してきた Mirage Resorts 社の株主総会における票決だ。

 この結果を受け当局も早ければ翌 31日に両社の統合に対し承認を下すと見られており、今年3月に MGM 社が買収意思を示してからわずか 3ヶ月でこれまでの Mirage 社は完全に姿を消すことになる。

 今回の買収劇で最も注目を集めているのが、ベラージオホテルの象徴的存在だった総額 400億円ともいわれている絵画の行方だ。
 Mirage 社が巨費と社運をかけて完成させたこの豪華ホテルには、同社の会長 Steve Wynn 氏の意向などにより ゴッホ、セザンヌ、ルノアール、モネ、ゴーギャン、スーラ、ピカソなどの名画約四十数点が飾られている(一部は Wynn 氏個人の資産)。その約 4分の3は同ホテルのアートギャラリー内に、そして残りは直営レストラン Picasso のダイニングルームに飾られている(写真下)。

 すでに実質的な経営権を握っている MGM 社は、本日の株主総会の正式決定を待たず、二日前の28日にそのアートギャラリーを閉鎖してしまった。オープン後わずか一年半という短命に終わってしまったアートギャラリーだが、有利子負債の削減など合理化による経営刷新を目指す MGM社にとって直接利益を生み出さない資産は不要のようで、展示されていた絵画はただちに売却されるものと見られている。

 一方、レストラン Picasso に飾られている作品12点(すべてピカソ作)に関しては、予想に反して売却処分されない可能性が出てきている。
 ベラージオのレストラン部門のアシスタントディレクター Johan Isberg 氏に直接インタビューしたところによると、「レストラン Picasso は経営が順調な上、絵は店にとって必要不可欠な存在。MGMの経営陣もその重要性を認識しているようだ。」 と絵画残存説を示唆していた。ただ一部には 「遅かれ早かれ売却されるはず」 との意見も根強く、絵画ファンにとっては今後の MGM の動きから目を離せない状態が続きそうだ。

 いずれにせよ現時点ではピカソの名画に囲まれながら食事を楽しむことができることだけはたしかで、「店内資産では世界一」(Isberg 氏)といわれるこのレストランのダイニングルームで十億円以上もする名画に囲まれながらのディナーは格別なので、興味がある者はなるべく早い時期に行ってみることをおすすめする。

 なお店内のベストシートはもちろんピカソの絵の近くだが、あまり近すぎると威圧感ある絵に圧倒され(たとえ芸術的内容がわからなくてもその金額を想像しただけで圧倒されてしまう可能性あり)、料理を楽しむことができない可能性があるばかりか、ダイニングルーム全体に飾られているさまざまな絵を楽しむことができないので少々離れていた方がよいかもしれない。
 窓際の席からは同ホテルの名物である噴水ショーが良く見え非常にロマンチックだが(写真下)、ピカソの絵からはかなり遠くなってしまう。このレストランに限っては、噴水の存在は無視して絵を楽しむことに徹した方が得策のような気がする。
 超ハイローラー以外の一般客は完全予約制だが、希望が通るかどうかは別にして、希望する席が空いていたら案内係にそれを申し出てみても損はないだろう。

 店内資産世界一とのことで絵画ばかりが目立ってしまうレストランだが、味の点でも全米屈指のようで、権威ある Mobile Travel Guide の 2000年度評価で 5つ星レストランに選ばれている。ちなみにこの 5つ星の評価を受けているレストランは全米で19店しか存在していないというからこの店のレベルの高さがうかがえる。

 料理のジャンルとしては地中海風フレンチ&イタリアンといった感じで特に形式にこだわっていないようだ。
 メニューは仕入れた食材によって頻繁に変わるらしく、取材時に実際に手渡されたメニューにもその日の日付が入っていた。基本的には $75 と $85 のコースメニューのみで、原則として飲み物とデザート以外はあれこれ選ぶことができない(ただしそれぞれのコースメニューの中でいくつかのセレクションはある)。
 予算的は、標準的ワイン、デザート、チップ、税金込みで一人 $150 前後と考えておけばよいだろう。
 実際に食べてみた感想としては、どのアイテムも総じて思っていたよりかなりあっさり気味の上品な味で、オリーブオイルなどが効いたこってりした味ではなかった。調理場からの油がダイニングルームまで浮遊し絵画にダメージを与えてしまうことへの配慮からだろうか。

 取材時に試食した$85のコースメニューの全アイテム写真 ← クリック

 さて気になる予約システムだが、ラスベガスで最も予約がむずかしいレストランといわれており、原則としてカジノゲスト(いわゆるハイローラー)優先で、その次がベラージオの宿泊者が優先され、さらにその次が系列ホテルの宿泊者となっている。それ以外の者はまず無理と考えた方がよいだろう。ベラージオの宿泊者でもカジノゲスト以外の当日予約はかなりむずかしいため、到着した日に翌日や翌々日の予約を試みることをおすすめする。
 なお、レストラン側の希望として、あえて電話番号を記載することは避けたので、現場へ足を運ぶか館内電話などで予約を試みるようにしていただきたい。


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