週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年3月1日号
BLUE MAN、子連れファミリーにはおすすめだが...
 2月 23日、ニューヨーク、シカゴ、ボストンなどでも公演中の奇怪なショー “BLUE MAN GROUP” の定期公演ショーが当初の予定よりも1週間早くラクソーホテル内のメインシアターで始まった。

 この BLUE MAN GROUP は、日本人観光客にも人気があったマジック&アクロバットショー IMAGINE (2000年1月に公演終了)のあとを引き継ぐラクソーホテルのメインアトラクションとして鳴り物入りでスタートしたショーだが、国籍や老若男女を問わず比較的万人受けしていた IMAGINE とはかなり様相が異なり、その評価は人によって大きく分かれそうだ。

 ショーの内容を簡単に説明するならば、頭部を真っ青に塗った3人の役者が表情を変えずに無言のまま黙々と楽器演奏やコミカルなパフォーマンスを演じるというもので、顔が青いということ以外、特に驚くような見せ物はなにもない。そのように書くと 「出来の悪いショー」 という印象を与えてしまいがちだが、必ずしもそうではないところがこのショーの不思議なところであり、また、評価のむずかしいところでもある。その証拠に取材時の劇場内の様子は、完全に白けきって退屈している観客も多く見受けられた反面、スタンディングオベーションで拍手を送っていた観客も少なくなかった。
 また、日本人観光客にとって大いに気になる英語力の必要性に関しても、これまたコメントが非常にむずかしい。役者自体は最初から最後まで一言もしゃべらない。そういう意味ではまったく英語力を必要としないショーといえるが、一方、役者が台詞をしゃべる代わりにステージの両側に電光表示で文字が流れたり、コミカルなメッセージが書かれたボードを役者が持ち出したりする場面などがあり、ヒヤリングは不要でもかなり高度な英語読解力が必要だ。

 さてショーそのものに対するコメントだが、好意的な部分から書くならば、このショーの良さは一にも二にもその奇抜性にあるといってよいだろう。顔が青いということ自体大いに奇抜だが、3人のブルーマンが演奏する楽器も非常に奇抜だ。水道管を複雑につないで作ったような管楽器や打楽器は見ているだけでも楽しいばかりか、音色も演奏もなかなかのものだ。
 そしてこのショーの最大の見物はなんといっても最後の 10分間だろう。それまでが比較的退屈しかねないパフォーマンスの連続のため、会場全体が突然とんでもないことになってしまうこの最後の部分では誰もが驚き、時差ボケで寝ている者でも必ず目を覚ます。詳しく書いてしまうとこのショーを観る楽しみが半減しかねないためこれ以上の説明はあえて避けるが、この部分こそがこのショーのすべてだと言っても過言ではないだろう。

 さて次に否定的な見解だが、個々のパフォーマンスのレベルは決して高くない。楽器の演奏こそそれなりのものがあるが、それとて日本の和太鼓演奏などと比べると大したことはなく、少し練習すれば誰にでもできそうなレベルのものだ。また、3人のブルーマンがポップコーンを口に含んだり吐き出したりする場面などは、かつての日本のドリフターズがよくやっていたドタバタ劇と何ら変わらず、子供にとっては楽しいかもしれないが、一般の大人にとっては 「どこがおかしいの?」 といった感じを受けなくもない。少々厳しい表現になってしまうが、青い顔という奇抜な格好と、どんな場面でも笑わずに黙々と演じているとぼけた表情が滑稽なだけであり、もし顔が青くなければ無料アトラクションにもならないレベルといってよいのではないか。誰もが驚くような曲芸やアクロバットなどを途中に挿入するなど、もう少し工夫が欲しいところだ。
 また、クライマックスともいえる最後の部分だが、これもよく考えれば “とにかく派手にやる” ということ以外、アイデアもやっていることも子供の学芸会でもできるレベルのもので、意表をつかれその演出に驚くことはあっても決して感動するほどのパフォーマンスではない。そして何より、地球環境問題がさわがれる昨今、大量の紙を無駄にするその最後の部分の演出が今後も一般大衆から支持と評価を得られ続けることができるのかどうか大いに疑問を感じるところだ。

 ということでこのショーの評価のポイントは、「顔を青くした」 ということの “アイデア賞” に凝縮されるのではないだろうか。そしてそのこと自体は大いに評価されるべきことで、また、その部分はこのショーのわかりやすさにもつながっている。英語の読解力を必要としながらも、コメディーショー、モノマネショー、ミュージカルなどに比べはるかにわかりやすく英語を知らない子供でも十分に楽しむことができる。そういう意味で子連れファミリー族におすすめのショーといってよいだろう。(だたし、最後のシーンでは強烈な光線の点滅が会場全体を覆うため、かつてポケモンのテレビ番組で問題となった光過敏症系のてんかんの心配がある子供を持つ親は十分な注意が必要だ)

 さて座席の位置に関してだが、あまり後ろすぎる席は避けた方がよいだろう。会場の奥行きがかなり長いため後方の席からではせっかくの役者の青い顔がよく見えない。また英語の読解力があっても文字がよく読み取れない。
 一方、前の方の席はそれほど悪くはない。一般のショーの場合、ステージに近すぎる席は舞台全体を見渡しにくいという欠点があるが、このショーにおいては基本的に3人のブルーマンしか登場しないため舞台の広範囲を同時に見渡さなければならないシーンがほとんどなく、かなり前の席でも特に問題はなさそうだ。ただし、前から5列目まではドタバタ劇の際に水や絵の具が飛んで来る恐れがあるので注意が必要だ (その席の者にはビニール製の雨がっぱが配布される)。左右の位置は中心から少々ずれていても特に問題なくステージを見ることができるだろう。
 なお、開演直前に会場スタッフから白い紙テープが全員に配られるが、それは首に巻いたりハチマキにしたりするためのものだ。これが最後のシーンで光り輝き会場全体を盛り上げることに貢献する。

 料金は後方の席が $55、前方の席が $65。火曜日を除く毎日 7:00pm と 10:00pm の2回公演 (ただし日曜日と月曜日は 7:00pm のみ)。チケットはラクソーホテルおよび同系列のエクスカリバーホテルやマンダレイベイホテル内にあるチケット売場で。


バックナンバーリストへもどる