週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年2月23日号
全英オープンの名物ホールを一堂に集めたコース
 今週は、ラスベガスの中心街からわずか車で 20分ほどの場所にある非常に独創的なゴルフコース Royal Links Golf Club を紹介したい。

 このゴルフコースはすでに1年前からオープンしているが、芝生がやっと根付いてきたという意味ではこの春からが本格的な幕開けといってよいだろう。
 コースの特徴はなんといっても “全英オープン” で、18ホールのすべてがセントアンドリュース、ロイヤルトルーン、ミュアフィールド、ターンベリーといった全英オープンの舞台となるコースの名物ホールで構成されているというから英国のコースに思い入れがあるゴルファーにとってはたまらない。

 ここのマネージャー兼ヘッドプロ Joe Dahlstrom 氏によると、各ホールはバンカー、グリーン、ラフなどのサイズやレイアウトはもちろんのこと、芝生の種類から雑草に至るまで可能な限り本物に近づけて造られており、この種のコンセプトのコースとしては規模も “模倣度” も世界一という。
 もっとも、いくら世界一といっても早い話が 「マネ」 であり、それが自慢できることかどうかは意見が分かれるところだが、エッフェル塔も自由の女神もピラミッドもマネしてしまうこの街ではゴルフコースにおいても中途半端なことでは客寄せできないようで、その徹底した模倣ぶりには目を見張るものがあり、それなりに評価されてしかるべきだろう。
 「模倣」 と 「独創性」 は相反する言葉だが、「模倣も徹底してやれば独創になる」 というのがラスベガスの哲学なのか、テーマホテル同様、このゴルフコースの細かいこだわりを知れば知るほど、他に類を見ない独創性とエンターテーメント都市・ラスベガスの魂のようなものを感じる。

 取材ラウンドは英国の雰囲気がよく出るようにとあえて曇天の日が選ばれ、風も強く気温も十分低かったせいか寒さも英国風で、このコースの取材という意味では “絶好のコンディション” だった。
 英国民謡と思われるバグパイプの音色が流れる古城風のクラブハウスをあとに、高まる興奮を抑えながらティーグラウンドへ向かうともはや気分は完全に全英オープンだ。
 各ホールのティーグラウンドには、大理石のようなもので作られた古めかしい書物をかたどった案内表示があり(写真右)、そこには過去の全英オープンにおける そのホールでの名勝負 などが記されている。
 ちなみに 8番ホールは 「切手ほど小さいグリーン」 とのことで “Pastage Stamp” の愛称で知られるかの有名なロイヤルトルーンの名物ショートホールだ。

 波打つフェアウェーとそこに点在するアリソンバンカー、荒涼としたラフと延々と続く灌木。そこにはアメリカや日本のコースでよく見かける美しい池や滝などはひとつも無い。きちんとせん定された植木もなければ花もない。
 一般的にアメリカでは、マスターズのオーガスタに代表されるような、人間が手を加え箱庭のように美しく仕上げられたコースが良しとされ、日本でもそのアメリカスタイルのコンセプトが踏襲されている。一方、英国では、「風や雨などの自然が造った地形をそのまま生かしたコースで自然と闘いながらプレーする」 というのがゴルフの原点となっており、この Royal Links にはまさにその英国ゴルフの魂というべきようなものが随所に現れている。

 英国気分にさせてくれるのはクラブハウスやコースだけではない。なんとこのコースではキャディ−を付けなければならない規則になっているが、そのキャディーの演出が何とも心憎い。キャディーは全員が 全英オープンさながらの格好 をしており、その背中には全英オープンの覇者名が書かれている。「お客様には全英の選手になった気分でプレーしていただきます」(Dahlstrom 氏)との徹底ぶりだ。

 さてプレーしてみてのコースの感想だが、池がひとつも無いという意味では他のコースに比べやさしいかもしれない。一方、バンカーが苦手な者は階段で降りていかなければならないような非常に深い タコ壺 バンカーが多数あるため脱出不能に陥りゴルフにならない可能性がある。また、フェアウェーが波を打っているため斜面からのショットが苦手な者はスコアがまとまりにくいかもしれない。グリーンの傾斜はアメリカの他の一般的なコースと特に大きな違いはないが、サイズは総じて大きめで、あの “Postage Stamp” でさえも特に小さなグリーンという印象は受けない。

 気になるグリーンフィーだが、このコース自体が接待コース (各カジノホテルがその上客をもてなす際に使っているコース) ということもあり非常に高い。ラスベガスのグリーンフィーは全米平均に比べ突出して高いといわれているが、そんなラスベガスにおいてもさらに飛び抜けて高く、月曜日から木曜日が $225、金曜日から日曜日が $250 となっている。さらにキャディーフィーがキャディーひとりにつき $50 (プレーヤーの数にもよるが4人プレーなら二人、3人以下ならひとりを付けるのが普通)、さらに各プレーヤーがそれぞれの担当キャディーに対して約 $30前後のチップを渡す必要があり、またレンタルクラブも1セット $50 となっており、日本よりも高いゴルフになってしまう可能性がある。
 また、これだけ高い料金を払っても、箱庭的美しさを良しとするアメリカスタイルのゴルフを伝承している日本の美しいゴルフ場に慣れてしまっている者にとってはさして美しいゴルフ場に見えず、【美しいゴルフコース = 高いコース】 という図式で考えてしまうと割高感はよりいっそう大きなものになってしまうかもしれない。そういう意味においてこの Royal Links は、アメリカゴルフが全盛で全米オープンやマスターズの方が全英オープンよりも注目されている近年のゴルフしか知らないゴルファーよりも、全英オープンが最も権威ある大会とされていた古き良き時代を知っているオールドファンにおすすめだ。かつての全英オープンの名場面を懐古しながらラウンドできる者であれば感動の連続であることは間違いなしで、安いと思うことはあっても決して高いと思うことはないだろう。

 Hole 全英オープン会場 Hole 全英オープン会場
 1番 368yd, Par 4、Royal Lytham #10 10番 466yd, Par 4、St.Andrews #17
 2番 372yd, Par 4、Royal Troon #7 11番 324yd, Par 4、Royal Cinque #6
 3番 170yd, Par 3、Prestwick #2 12番 471yd Par 4、Royal Birkdale #6
 4番 621yd, Par 5、Royal Liverpool #8 13番 348yd, Par 4、Prestwick #15
 5番 322yd, Par 4、St,Andrews #12 14番 193yd Par 3、Turnberry #15
 6番 416yd, Par 4、Royal Birkdale #10 15番 571yd, Par 5、Turnberry #5
 7番 471yd, Par 4、Royal St.George #13  16番 454yd, Par 4、Carnoustie #15
 8番 153yd, Par 3、Royal Troon #8 17番 227yd Par 3、Royal Troon #17
 9番 567yd, Par 5、Muirfield #5 18番 515yd, Par 5、St.Andrews #14

■ 行き方:
ストリップ大通りのバリーズホテル前から FLAMINGO 通りを東へ 6.2マイル走ると NELLIS 通りにぶつかるのでそこを左折(北)。左折してから NELLIS 通りを 1.5 マイル北上すると VEGAS VALLEY 通りが出てくるのでそこを右折(東)。VEGAS VALLEY 通りを1マイル走ると右側に Royal Links の入り口が見える。ストリップからの全行程 8.7マイル(約 14km)。タクシーで所要時間約 20分、料金は$15〜$17 (チップを入れても $20 以内)。帰りのタクシーはゴルフ場で呼んでもらうことができる。

■ 予約:
予約は直接 Royal Links へ電話かファックスで。なおファックスの場合のみ日本語もO.K.。プレー希望日、希望時間帯、プレー人数、全員の名前、宿泊ホテル名、連絡先(FAX番号と電話番号)、クレジットカード番号とその有効期限、を明記し以下のファックス番号まで送信すると 48時間以内に予約確認書が届く。予約の変更や取り消しはプレー日の3日前までは自由(無料)だが、それ以降はクレジットカードにグリーンフィーが全額請求される。

 ・ 電話(フリーダイヤル、英語のみ) 888-397-2499
 ・ FAX(日本語O.K): 702-217-4649




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