週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2000年2月16日号
VENETIAN が“完全オープン”
 昨年5月、カジノと客室棟の一部以外はすべて工事中という極めて異常かつ中途半端な状態で “ソフトオープン”(一部の施設のみの暫定開業) したベネシアンホテルは、その後も資金難や入居予定のテナントとの契約トラブル、さらには労働争議や訴訟騒動などさまざまな問題に直面し、多くの未完成施設を放置したまま営業を続けてきたが、昨年秋以降、同ホテルを取り巻く環境の好転とともに中断していた工事を一気に進め、このたび開業後9ヶ月目にしてようやく“完全オープン”にこぎつけた。

 厳密には 「リアルト橋」周辺のごく一部、およびストリップ側の最北端の2階部分などがまだ未完成のため 「100% 完成」 とは言いがたい状況だが、カジノ、客室、レストラン、ショッピングゾーン、アトラクション施設のほぼすべてが当初の予定通り出揃ったという意味では “五体満足” のホテルとして完成したといってよいだろう。
 なお、今回の完成に自信をつけたのか、同ホテルは計画が頓挫していた第2棟(3000部屋)の建設にも意欲を見せており、早ければ年内にも着工する考えがあるようだ。

 さて今週は、ここ数ヶ月の同ホテルの完成過程において続々とオープンしたテナントをいくつか紹介してみたい。
 最後まで未完成だった Grand Canal Shoppes (カジノフロアの上層階にある室内ショッピングセンター)の一番奥のセクションにオープンしたのが、和食と中華とタイ料理を融合させたニュースタイルの大型レストラン TSUNAMI と、贈答用チョコレートとして日本人の間でも人気が高い GODIVA だ。
 TSUNAMI は薄暗い中にも近代的な派手さが漂う独創的なインテリアが特徴で、寿司カウンターもある2フロアの大型レストランだ。料理のコンセプトは、マンダレイベイで日本人に好評だった China Grill Cafe (最近営業不振のためカニ屋として再出発) に極めて酷似しており日本人には向いているが、店の前の人通りの悪さと値段の高さから判断して前途の多難が予想される。
 GODIVA はシーザーズパレス内にもあるが、こちらの方が規模も内容も勝っているだろう。みやげとして人気が高い話題のココアもここで買い求めることができる。

 GODIVA からさして遠くない場所には知る人ぞ知る人気シェフ・ウォルフガングパック氏の店 Postrio がオープンした。外からは中庭に面したテラス席ばかりが目に付くが、店内のダイニングルームも驚くほど広い。料理はウォルフガングパック氏得意の地中海風イタリア料理とアジア料理の融合で、メニューも値段もフォーラムショップスにある系列店 SPAGO と極めてよく似ている。

 Postrio の近くには、すでに開業して 2ヶ月が経過する 1400人収容のナイトクラブ型複合イベント施設 C2K がある。現在この C2K では、モノマネショーや一流シンガーによるコンサートなどが行われているが、深夜になるとダンスホールに変身する。
 その他 Grand Canal Shoppes 内にはファーストフード店が軒を並べるフードコートが完成した他、シューズの NEW BALANCE、アクセサリーの AGATHA、高級バス用品の ACCA KAPPA などが店を開けた。

 場所を階下のカジノフロアへ移すと、ここにも新しいレストランが続々とオープンしている。
 まず開業直後から人気を集めているのが高級イタリアンの VALENTINO とカジュアルイタリアンの ITALIAN GRILL だ。両レストランは経営が同じで入口も共通だが(写真左)、中のダイニングルームはしっかり差別化されており、それぞれの個性がうまく演出されている。当然 ITALIAN GRILL の方が庶民的だが、料金的は決して安くないので注意が必要だ。
 これらイタリアンレストランのすぐ隣には、すでに開業してしばらく経過する本格派中華料理店 ROYAL STAR がある。ここでは毎日 11:00am から 3:00pm までヤムチャを楽しむことができる。

 カジノフロアの最も北側でストリップ側の出口に近い場所に高級フレンチ LUTECE がオープンした。カジノ内の入口の場所はわかりづらいが、広場側(ストリップ側)はテラス席になっているので外からならばすぐにわかる。見るからに高級そうで少々入りづらさを感じるドアを恐る恐る開けて店内に入ると、そのインテリアの奇抜さに驚かされる。言葉では表せないような近代的かつ不思議なデザインで、特に天井から突き出た巨大な照明のようなものは意味不明なアートだ。店内に入ったとたんに懐具合が気になるが、$68 のセットメニューがあるので予算に限りがある者はそれを頼むとよいだろう。それでも飲み物と税金とチップを入れれば $100 を超えてしまうことを覚悟しておく必要がある。

 最後に、カジノ内のスポーツブック近くに NOODLE ASIA というラーメン、ヤキソバ、ビーフン、チャーハンなど、日本の大衆食堂的なメニューをそろえたファーストフード店がオープンした。メタリック超の厨房が丸見えなところがユニークなのでついつい足を踏み入れたくなってしまうが、ファーストフード店としては値段がかなり高く、春巻きとシューマイ以外はほとんどが$10以上する。

 以上ここで紹介したショップやレストランは最近オープンしたばかりのもので、この他にも以前から営業していた店はたくさんある。それらすべてを総合的に評価すると、規模的にも内容的にももはやこのベネシアンのテナントはベラージオのそれを上回っているように思えてならない。
 全室スイートという客室の豪華さも加味するならば、ロケーションが少々北に位置しすぎているという難点があるものの、このベネシアンは現時点では文句無しにラスベガスナンバーワンのホテルといってよいだろう。

【NOTE】
 このホテルの名称 “VENETIAN” の発音が非常に難しい。“ルクソール”と並び最も通じにくいホテルのひとつで、日本語表記の “ベネチアン” と言ってもタクシーの運転手には絶対に通じない。本家本元のイタリアでの発音はどうであれ、アメリカ人はこの VENETIAN を “ヴィニーシャン” と発音している。アクセントは “ニ” の部分に思いっきり置く。
 外来語の日本語表記自体に無理があるため表記の問題などどうでもよいことだが、ラスベガス大全では、読者がタクシーなどを利用する際に困らないよう、なるべく当地の発音に近い表記に心がけるようにしている。それでもこのホテルの名称を “ヴィニーシャン” と表記してしまうと、日本のガイドブックなどに登場する “ベネチアン” と同一のホテルであることすらわからなくなってしまい、“ベネチアン” の情報をラスベガス大全の中から探し出すことができなくなってしまうという弊害が生じるため、とりあえず妥協の産物的な “ベネシアン” という表記で統一することにした。
(この “ベネシアン” ならば “ベネチアン” に比べタクシーの運転手に認識してもらえる可能性がぐんと高くなることは実験済)


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